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子育ての“奴隷”になる1980年代生まれ

一人っ子政策で甘やかされて育った世代が親になった

2012年6月22日(金)

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 中国で2010年1月頃に“孩奴(がいぬ)”という新語が生まれた。中国語で「子供」を“孩子”言うが、“孩奴”はこの“孩子”に“奴隷”を組み合わせた言葉で、そのまま訳せば「子供のための奴隷」となるが、「我が子のために懸命に働いて金を稼ぎ、自分の欲望を抑えて奴隷のような生活を送る父母」を意味する。中国では末尾に“奴”を持つ新語が次々と生まれているが、“孩奴”もその系統に属する言葉である。ちなみに、“房奴”は「住宅ローンの返済に苦しむ人」、“車奴”は「自動車のローン返済や維持費の支払いに苦しむ人」、“卡奴”は「カードローンの返済に苦しむ人」を指すが、“孩奴”はこれらに続く新語として位置付けられている。

 筆者は2010年1月29日付の本リポート「子供の教育費のために人生を捧げる」で“孩奴”の概要を報じたが、それから2年が経過した現在、中国では改めて”孩奴”が話題となっている。2年前のリポートと一部重複する内容もあるが、再度“孩奴”をテーマに取り上げる。

24年間で子供の養育費用は40数倍に増大

 2012年6月15日付の台湾紙「世界日報」は北京発の記事「出産・養育費用が24年間で40倍以上に高騰、中国の“80后(1980年代生まれの世代)”は“宝宝”を生む勇気がない」を掲載した。中国では「子供」を“宝宝”という愛称で呼ぶ。子供は大切な宝物として愛(いつく)しむものという伝統的な考え方を示している。それはさておき、その記事は以下のような内容である。

【1】中国では1組の夫婦に子供は1人という家族計画、通称「一人っ子政策」に違反して2人目以上の子供を産む超過出産を“超生”と言うが、金持ちは先を争って“超生”を行うが、一般の庶民はこれとは逆に子供を産む勇気がない。子供の出産・養育費用の高騰で、“80后”の夫婦は「生きるか、子供を産むか」の選択を迫られている。彼らは既に“房奴”や“車奴”だが、もし子供を産んだら“孩奴”にならないはずがない。ある人の試算では、1988年から現在までの24年間で子供の養育費用は40数倍に増大したという。

【2】最近、多数の“80后”ネットユーザーが1年分の子供の養育費をネット掲示板に公表していることが注目を集めている。「5000元(約6万2000円)、良い幼稚園に通うと2カ月でそんなに費用がかかるの」「来年子供を託児所に預けるけど、またもや1000元(約1万2400円)もの出費を覚悟しなくちゃ」といった内容で、それらの多くが「子供の養育は大変だから、子供を産む勇気がない」という趣旨を伝えている。

【3】広東省広州市のあるネットユーザーの計算によれば、広州市で子供が小学校6年生を終えるまでには少なくとも45万元(約558万円)の費用がかかるが、そのうちの8割前後は教育費であるという。

【4】ハンドルネーム“宝宝奴隷”というネットユーザーが、“齦老(親のすねかじり)”で子育てをしている明細をネット掲示板に公表した。月給が3300元(約4万1000円)という彼女は次のように述べている。粉ミルク、衣料品、おむつ、おもちゃなどの日常の支出を除いて毎年の“保母(ベビーシッター)”の費用が数万元(約40~50万円)以上、幼稚園の託児費が1万元(約12万4000円)近く、保険費用が1万元、これに幼児教育やピアノの授業料などの出費がある。その合計は彼女の所得を上回って赤字となるので、夫婦双方の両親から毎年3万~4万元(約38万~50万円)を支援してもらわねばならない。<注1>


<注1>上記の【3】および【4】は上述した2010年1月29日の本リポートでも言及しているが、中国のニュースでは過去の記事をあたかも現在の記事のようにして報じることは珍しいことではない。

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「子育ての“奴隷”になる1980年代生まれ」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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