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「紫陽花革命」は通用するか

中国の革命の歴史が示唆する限界

2012年7月4日(水)

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 今月6日から日本で公開となる中国映画「さらば復讐の狼たちよ」(姜文監督・主演、原題『譲子弾飛』2010年)は、わが友人で映画字幕専門の中国語翻訳家の水野衛子さんが字幕を担当している。私は昨年の春にこの映画を見て、このコラム「“中国ジャスミン革命”の実現性」でも取り上げているのだが、もう一度改めて宣伝しておく。友人たちが関わっているという点で多少、贔屓目があるかもしれない。しかし、「紫陽花革命」といった言葉が飛び交うようになった近頃の日本で、革命とは何か、ということを考える上には、「革命」を何度も経験してきた中国のこの映画が、いろいろ辛辣な示唆を与えてくれる。

20世紀中国史のカリカチュア

 この映画のテーマは革命。辛亥革命100周年に合わせて作られ、映画の舞台も辛亥革命後8年の民国8年が時代背景となっている。中国の人気俳優で監督の姜文(チアン・ウエン)が主役の理想主義的革命家(実は匪賊の親分)、香港スターの周潤発(チョウ・ユンファ)が敵役の悪徳地主、個性俳優、葛優(グォ・ヨウ)が道化役の汚職官僚(実はペテン師)を演じる。

 ストーリーを説明しすぎると、浜村淳みたいだと怒られるのだろうが、姜文(匪賊)が、四川の県城(鵝城)に県知事として赴任する道中の葛優(汚職官僚)の馬列車を襲撃、姜文が葛優とすり替わって、新任県知事の身分で鵝城に乗り込み、成り行きから鵝城の独裁者である周潤発(悪徳地主)と闘い、革命を起こそうとする話である。ここに、現代中国を揶揄するような、いろんな諷刺や暗喩が含まれていて、この謎解きが面白いと、中国での公開当時は非常に話題になった。

 革命家(共産党)、悪徳地主(国民党)、汚職官僚(清朝)を暗喩しているという指摘もあって、そうやって見ると、20世紀中国史のカリカチュア(風刺画)にも見える。明らかに共産主義革命を虚仮にしている部分も感じとれ、よく中央宣伝部が公開を許可したものだともささやかれた。姜文はこの映画については、観客がどのように解釈しようが観客の勝手という態度をとり続け、映画制作の意図などをあまり詳しく語ることをしていない。

 中国映画国内興行成績暫定第一位のこの映画が示す革命観が、多くの中国人の共通認識であるとすれば、臆病な大衆が革命に立ちあがるきかっけは、義や道理ではなく、きわめて冷酷で理不尽で滑稽なものであり、一度立ちあがってしまった民衆は理性などなく、結局、混乱の中でおのが利益を奪い尽すことに夢中になり、革命の理想はあらいざらい奪われつくされた荒野に取り残されてしまうもの、ということになる。

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「「紫陽花革命」は通用するか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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