2012年7月11日付の上海紙「文滙報」は、近ごろ浙江省杭州市の“拱墅区人民法院(裁判所)”が“杭州打芬奇(杭州ダ・ヴィンチ)”の売買契約を巡る紛争事案に対する判決を下したと報じた。
当該事案は2011年5月に杭州ダ・ヴィンチの店舗で「100%イタリア生産でイタリア直輸入」と銘打った家具一式を323万元(約4038万円)で購入した原告の“魏和平”が、購入した家具の生産地に疑問を抱き、2011年11月に家具の返品と支払った商品代金の返金を求めて杭州ダ・ヴィンチに対する訴訟を提起したものだった。下された判決は、被告の杭州ダ・ヴィンチに対して商品代金の323万元(約4038万円)を10日以内に原告の魏和平へ返還するよう命じ、原告が被告に要求していた70万元(約88万円)の賠償請求については棄却したものだった。
中国で“達芬奇家居(ダ・ヴィンチの居間)”と言えば、北京、上海、広州、杭州、深圳、重慶、成都に店舗を構える高級輸入家具店として名高い。ちなみに、中国語の“家居(居間)”は“家具”と同じ発音であり、本来なら“家具”とすべきところをしゃれて“家居”としてもので、意味するところは“達芬奇家具(ダ・ヴィンチ家具)”(以下「ダ・ヴィンチ家具」)である。2000年に上海で創業したダ・ヴィンチ家具は創業者で経営最高責任者(CEO)の“潘庄秀華”(女性)<注>が順調に経営規模を拡大し、11年間の発展を経てアジアで最大規模を誇る高級家具販売企業に成長した。同社が代理販売している家具は、カペレッティ(Cappelletti)、アルマーニ(Armani)、フェンディ(Fendi)、ロンバルギーニ(Lamborghini)といった100種類以上の世界的有名ブランドで構成されている。
<注>シンガポール生まれでシンガポール国籍を持つ華人で、結婚前の名前は“庄秀華”であったが、“潘東尼”と結婚した後は、華人社会の伝統に則り、夫の姓を前に冠して“潘庄秀華”と名乗っている。
イタリア製を詐称
2011年5月、魏和平は杭州ダ・ヴィンチの南山路店で「100%イタリア生産でイタリア直輸入」と称するカペレッティの木製家具を予約購入して323万元を支払った。ところが、同年7月10日に国営テレビ局の“中央電視台(中央テレビ)”の人気番組『毎週質量報告(毎週品質報告)』が、ダ・ヴィンチ家具の商品に偽造品の疑いがあることを暴露した。これを知って騙されたと感じた魏和平は、南山路店に購入契約のキャンセルを要求した。これに対して南山路店の販売員は当初は契約解除に同意する旨を言明していたが、契約解除の手続きを行っている間に態度を急変させ、魏和平はまだ商品を見ていないので単なる主観的な憶測で商品の品質にいちゃもんを付けているとして契約解除を拒絶した。こうした経緯を踏まえて、魏和平は同年11月に杭州ダ・ヴィンチを宣伝詐欺で拱墅区人民法院に提訴したのだった。
上述した中央テレビの番組「毎週品質報告」が2011年7月10日に報じたテーマは『ダ・ヴィンチ超高額家具、その外国ブランドの商品はニセモノと指摘される』であった。このテーマで報じられた番組の概要を述べると以下の通りである。
対岸の火事とは言い切れない。ある日本企業は製品を中国工場で生産し、ごく一部の部品のみを組み込まないあるいは一度組み込んで動作確認をした後に外した状態で日本に輸入し、日本の工場でその部品を組み込む。でMade in Japanの表記。酷かったのは個々の製品の箱にこの"半完成品"を入れた製品梱包状態で輸入していたこと。そのため中国当局から「99%以上中国で作った製品をMade in Japanの表記の箱に入れて輸出するのはイカン」と指摘を受けた。で、付箋紙のようなすぐに剥がせるシールにMade in PRCと書いてMade in Japanの上に張り付けた状態で輸入し日本製として販売している。そんな日系家電メーカーも実在していますよ。で、日本の当局からは指摘は一切ナシ!(2012/08/01)