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尖閣諸島の実効支配を強化するなら今しかない

軍の存在感増す中国次期政権

2012年7月25日(水)

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 7月25日前後に始まるとささやかれていた「北戴河会議」が、どうやら8月4日前後に延期されるようだ。香港のネットニュース「明鏡新聞ネット」が報じていた。北戴河会議というのは、河北省の党幹部ら御用達の避暑地、北戴河で行われる非公開の会議で、スタイルとしては、夏休みでくつろいでいる風を装いながら、党中央幹部らがこっそり密会して、人事やら政策やらを内定する。

 秋に予定されている第18回党大会を前にした人事やら細かい日程などが、ここでおおむね決まると言われている。北戴河で決まれば、それは党中央幹部らの事実上の合意なので、なかなか覆せない。延期というのは、人事の最終段階でまだもめているからだろう。噂では8月4日前後から25日前後まで続く、うだうだ長い会議になりそうだ。

 このコラムでも何度か触れているが、今年秋の党大会というのは、胡錦濤政権から習近平政権に変わる重要な政治イベントである。尖閣諸島問題など、明白な国益対立を中国との間に抱えている日本にとっても、どんな政権が出来上がるかは関心事だろう。

政治における軍の存在感が一層強くなる

 今、香港メディア、台湾メディアが報じているところによると、次の政権の政治の中枢を担う党中央政治局常務委員は現在の9人から7人に減らされことになり、党大会自体は10月末日前に必ず開き延期はされないもようだ。政治局常務委員を減らすのは胡錦濤総書記の主張だ。減らした方が自分の派閥を多数派にできるからにほかならない。

 現段階では、おそらく党人事は胡氏に有利に進むだろう。政治局常務委入りが確定している習近平、李克強両氏のほか、王岐山、李源潮、兪正声、張徳江ら各氏の名前が候補に挙がっている。特に注目されるのは、解放軍から胡錦濤派の常万全上将が政治局常務委入りするという噂だ。常万全上将は現総装備部長でもあり、中国初の女性宇宙飛行士を乗せた神舟9号の打ち上げ総指揮を執った人物。この噂は6月ごろ、党上層部関係者から意図的に流されているのだが、もし本当になったとしたら、第14期党中央政治局常委員入りした劉華清氏以来の軍制服組の政権中枢入りとなる。

 知り合いの上海閥の元官僚学者に意見を聞いたら、「今、この情報が出ているとなると、その人事をつぶすつもりのリークだろう」と言い、確実な話ではないらしい。いずれにしろ政治における軍の存在感が一層強くなる傾向にあるとみてもいいかもしれない。今の段階では胡錦濤氏が中央軍事委主席を続投することはほぼ確実と見られている。

 政治というのは基本的に政治家個人の保身とパワーゲームの結果である、と私は感じている。わずか1年しか政治部記者はやっていないのだが、国家ビジョンがあって、それに向かって政治家が努力するというよりも、自分の保身やライバルたちと対抗していくためにあれこれ画策するなかで、政治の方向性が出来上がってくるふうに見えた。

 日本のように一応民主主義を掲げていると、この保身やライバルたちに打ち勝っていくためには大衆の支持を得るというのが一番重要で、ときに実現性が疑われるような公約をわかりやすいワンフレーズで表現して、有権者の気を引ける政治家が力を持つようになる。しかし中国の場合は、一番重要なのは軍の支持と党内の人間関係である。胡錦涛氏は長らく、この軍の支持をとりつけるのに苦労していたが、政権交代前に、ようやく軍権の掌握にこぎつけた、といわれている。

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「尖閣諸島の実効支配を強化するなら今しかない」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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