韓国経済は低成長の沼にはまってしまったのか。韓国政府は経済成長率の見通しを3.7%から3.3%に修正した。政府自ら、経済が深刻な状況に陥っていると認めたことになる。
3.3%という数字は2011年の成長率(3.6%)よりも低い。韓国銀行の展望(3.5%)、KDI(訳者注:Korea Development Institute、金融・経済政策関連研究を行っている非営利機関)(3.6%)、金融研究院(3.4%)の見通しよりも低い。1年前見通しは4%台後半だったが1ポイント以上落ちた。下方修正後の見込み通りにいけば、李明博大統領が政権を担当した5年間の平均成長率は3.1%にすぎなくなる。
政府は、下半期の財政投入を8兆5000億ウォン(約5900億円)に増やすことを急いで決めた。経済危機への対応策としては、1998年の12兆5000億ウォン(約8750億円)、2009年の28兆4000億ウォン(約1兆9880億円)に次ぐ規模である。国債を発行し補正予算を組むのではなく、既存の予算において各種余裕資金を集め、年内に執行する。長期化するグローバル経済危機に備えて、財政の健全性を維持する必要があるため、財政収支に与える打撃が少ない方法を選んだ。
既存(2011年12月12日) | 修正(2012年6月28日) | |
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経済成長率 | 3.7% | 3.3% |
物価上昇率 | 3.2% | 2.8% |
就職者 | +28万人 | +40万人 |
経常収支 | 160億ドル | 180億ドル |
都市インフラ整備や住宅取得支援をテコ入れ
まずは国民住宅基金、信用保証基金などの支出額を2兆3000億ウォン(約1610億円)増やす。さらに、社会基盤施設(訳者注:SOC 道路、鉄道、港湾、貨物ターミナル、下水処理場、多目的ダム、電気通信設備などの建設)事業を中心に公共・民間投資(訳者注:1994年制定した民間資本誘致促進法により、社会基盤施設民間投資事業が活性化されることになった。民間企業が資金を投入して社会基盤施設を設立する。国・自治体と契約した利用者から使用料を徴収して、投資を回収する。契約期間は道路の場合通常30年)を1兆7000億ウォン(約1190億円)拡大する。
また、年内に使い切れず来年度に繰り越す予算を最小化し、4兆5000億ウォン(約3150億円)の予算を追加執行する方針である。追加分は、地方革新都市建設事業(訳者注:地方都市を、首都圏と同様の生活環境を持つ未来型都市にする国家プロジェクト。公共機関も地方に移転する)と庶民住宅購入(訳者注:夫婦の所得が年間3000万ウォン(約210万円)以下で住宅を所有していない場合、低利子で住宅購入資金を融資する制度)、中小企業起業支援などに充てる予定だ。
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