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記録的な豪雨で明らかになった北京市の洪水対応能力

都市を検証するには一度の豪雨で事足りる

2012年8月3日(金)

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 2012年7月21日、中国の首都“北京市”は記録的な豪雨に見舞われた。今回の豪雨は北京市の気象記録が残っている1951年以降の61年間で最大かつ最強の豪雨であった。北京市全体の平均降雨量は170ミリ、市街地区の平均降雨量は225ミリで、1949年に中華人民共和国が成立して以来、北京市で一度に降った雨量としては最大を記録した。降雨量が100ミリ以上に達した面積は全市の86%以上を占め、局部的な集中豪雨は歴史的な規模で、全市で最大の降雨量を記録した市の西部に位置する房山区の“河北鎮”では降雨量が541ミリに達し、「500年に一度の規模」と形容されたのだった。<注1>

<注1>北京では1963年8月にも猛烈な豪雨があり、豪雨が集中した市街地の北京市朝陽区にある“来光営郷”では24時間の雨量が464ミリに達したとの記録があったと中国メディアは報じている。

「死者数37人」の発表に疑問の声が集中

 北京市の総面積は1万6808平方キロ<注2>、そのうち山地が1万418平方キロで62%を占め、平地は6390平方キロで38%を占めている。ちなみに、平地面積のうちの水域面積は480平方キロで総面積の2.9%。北京市は、西、北、東北を山に囲まれ、東南が徐々に“渤海”の方向へと傾斜して行く平原に位置する。その海抜は平均43.5メートルであるが、高台から見渡すと、北京の市街区はどこまで行っても平坦というのが印象である。その平坦な地形にもかかわらず、雨水を排水する施設が十分には整っていないため、北京では集中的な豪雨があると道路が冠水するのは珍しいことではないのである。その北京市に平均で170ミリの集中豪雨が襲ったのだから、北京市はたちどころに洪水に見舞われ、水都と化したのだった。

<注2>東京都の面積は2187平方キロで、北京市の面積は東京都の約7.8倍。東京23区の面積は621平方キロに対して北京の市街区面積は735平方キロで、北京の方が15.5%大きい。

 今回の豪雨を中国では「北京市“7・21”特大災害」(以下「721災害」)と呼ぶが、豪雨の翌日、7月22日に北京市当局が発表した721災害による北京市内の死者は37人であった。その死因は、溺死25人、家屋倒壊6人、落雷1人、感電5人であり、身元の判明した者22人、その他15人は確認中というものであった。7月25日夜9時頃に行われた“北京市防汛抗旱指揮部(北京市洪水防止・干ばつ対策指揮部)”(以下「指揮部」)の発表によれば、全市の被災人口は160.2万人、災害による経済損失は116.4億元(約1455億円)であった。25日に“北京保険監督管理局”が公表したところでは、同日午後4時までの統計で、北京にある損害保険会社が受けた自動車保険の損害報告件数は3万1698件で、その推定損害額は約2.6億元(約32.5億円)、家財保険の損害報告件数は1479件で、その推定損害額は約2.7億元(約33.8億円)であり、両者の合計はこの時点で既に5億元(約62.5億円)を超えていた。

 721災害による北京市内の死者数は7月22日に37人と発表されたが、その後は一向に更新されないまま時間が過ぎて行った。これに対して北京市民はネットの掲示板や“微博(マイクロブログ)”などによって疑問を呈した。山裾に所在する降雨量が541ミリに達した房山区河北鎮およびその周辺では“山洪(山津波)”が発生し、多くの住宅が流されて多数の死傷者や行方不明者が発生していること、市街地区でも洪水により多数の死者が出ていることは、“小道消息(噂)”を通じて市内に知れ渡っていた。にもかかわらず、21日の豪雨から4日が経過した25日になっても死者数は22日に発表された37人から変わらなかったのである。この死者数に対して疑問を呈する動きは北京市内だけに止まらず、徐々に全国的な動きに変わって行った。

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「記録的な豪雨で明らかになった北京市の洪水対応能力」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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