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ソマリア出身のスーパーモデルが立ち向かった運命

暫定憲法に「女子割礼」の廃絶が盛り込まれる

2012年8月17日(金)

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 世界のスーパーモデル、ワリス・ディリー(Waris Dirie)の自伝『Desert Flower: The Extraordinary Journey of a Desert Nomad』(和訳『砂漠の女ディリー』、武者圭子訳、草思社)を読んだことがあるだろうか。

自らが受けた「女子割礼」を明かす

『Desert Flower(砂漠の女ディリー)』の著者ワリス・ディリー(© AP/アフロ)

 この本は2009年に「Desert Flower(デザート・フラワー)」として映画化され、その翌年日本でも公開された。

 私自身、ソマリアの大地を歩き、その伝統・風習に触れているだけに、この本を読んで彼女の過酷な体験を容易に想像できるものの、あの砂漠の真っ只中から這い上がり、ロンドンやミラノ、ニューヨークのトップモデルに上り詰めた彼女のバイタリティーと強運には驚愕した。

「チャンスの神には前髪しかなく、後頭部はつるつるに禿げていて、すぐにつかまないとのがしてしまう、とよく言われる。ワリスはいつも、チャンスの到来を信じて生きてきたから、すかさず前髪をつかむことができたのだろう」

 訳者があとがきで述べている。確かに彼女は「運」を掴んだのだろう。しかし、その後、自らの「秘密」を暴露して、アフリカの女性のために立ち上がり、国連特別大使にまでなった姿には、彼女に与えられた「運命」が感じられる。

 ワリスはソマリアの砂漠に遊牧民として生まれた。私もその近くを訪れたことがあるが、灼熱の太陽の下、ラクダやヤギの草と水を求めてほぼ1カ月ごとに移動しなければならない過酷な地域だ。年に2回ほど雨が降るが、ほとんど降らない年もある。そのため、自分たちの水を得るのに数日も歩き回らなければならない。

 病気になっても医療施設はない。生命力の有無によって「生きる」か「死ぬ」かが決まる。実際、ワリスの兄弟姉妹12人のうち半数が命を落とした。

 ワリスは13歳の時に、ラクダ5頭と引き換えに老人との結婚を父に決められたため砂漠の真っ只中に逃げ出すした。時にライオンに食べられそうになり、またレイプされそうになりながらも、どうにか首都モガディシュまで逃れた。そして、幾多の逆境を乗り越え、ロンドンへ。そして世界のトップモデルに上り詰めるのである。

 メイドとしての重労働やいじめ、シリーズ・ヒット作「007リビング・デイライツ」のボンドガールへの抜擢、そのロケにいくためのパスポート偽造工作、いかれた男との偽装結婚、さらにドラマーとの電撃結婚などなど。世界でミリオンセラーになったのが納得できる本の内容である。是非、ご一読をお薦めしたい。

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「ソマリア出身のスーパーモデルが立ち向かった運命」の著者

國井 修

國井 修(くにい・おさむ)

「グローバルファンド」戦略・投資・効果局長

国際緊急援助NGO副代表として、ソマリア、カンボジアなどの緊急医療援助に従事。国立国際医療センター、外務省、UNICEFニューヨーク本部、同ミャンマー事務所、同ソマリア支援センターなどを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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