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中国航空事情:慢性化するフライト遅延に頻発する乗客の反乱

「82か所もの新空港は必要か」

2012年8月24日(金)

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 2012年7月20日、中国政府「中国民用航空総局」(以下「民航総局」)は、第12次5カ年計画(2011年~2015年)期間中に空港82カ所を新たに建設するとともに既存空港101カ所の拡張を行うと発表した。民航総局によれば、この結果として、全人口の80%以上にとって直線距離で100キロメートル以内に空港が所在することになり、第12次5カ年計画の終了時点における中国全土の空港数は230カ所前後に達することになるという。これに対して中国系米国人でジャーナリストのゴードン・チャンが米誌『フォーブス』ネット版(Forbes.com)の7月22日付コラムで「82か所もの新空港は必要ないのではないのか」<注1>と疑問を投げかけた。

<注1>原題は“Will China Build 82 Unneeded Airports By 2015? You Betcha.”。なお、ゴードン・チャン(Gordon G. Chang)氏は『やがて中国の崩壊が始まる(The Coming Collapse of China)』(2001年、草思社)の著者。

 チャン氏が疑問を呈するのは、中国が想定しているような航空市場は恐らく存在しないからだ。中国は、経済が絶え間なく拡大を続けるという前提に立って空港建設に情熱を燃やしている。しかし、チャン氏はこう考えている――中国経済は今後数十年にわたって下降し続けるし、中国人の1人当たり平均の収入は依然として低い状態が続くだろう。中国崩壊論に立つチャン氏が82カ所もの新空港は必要ないと考えるのはおかしなことではない。だが、2015年末の時点で230カ所前後となる中国の空港数は果たして多いのか少ないのか。

 さて、日本の総人口は2012年7月1日の概算値で1億2755万人だが、その日本には2012年7月の時点で空港が99カ所<注2>ある。一方、中国は2011年末の総人口が13億4765万人であるのに対して、2012年7月時点で運用している空港の総数は182カ所である。10分の1の人口しかない日本に99カ所あるのに比べて、182カ所というのは余りにも少ない。ちなみに、米国は2011年末の総人口が3億1300万人。これに対して、空港は大小各種合わせて1万9000カ所ほど存在するという。

<注2>自衛隊及び米国空軍との共用空港7カ所および空港よりも下位に分類される「飛行場」12カ所を含む。

空港は地方経済社会を発展させる牽引車か?

 民航総局が上述の空港建設計画と同時に発表したところによれば、2011年末に180カ所あった空港のうち135カ所は赤字。空港全体に占める赤字率は75%に達しており、赤字空港135カ所の赤字総額は約20億元(約250億円)にも上っている。なお、2010年末時点では空港総数175カ所に対して赤字空港は130カ所で、これら130カ所の赤字総額は16.8億元(約210億円)であった。1年の間に空港数が5カ所増えて、赤字空港も5カ所増え、赤字空港の赤字総額が3.2億元(約40億円)増えた計算になる。この空港の赤字運営について、民航総局は次のように説明している:

(1)北京、上海、広州、深圳といった大型空港と一部の中型空港が利益を出して黒字運営されているが、それ以外の空港は軒並み赤字運営を余儀なくされている。しかし、赤字を出しているのは中国に空港が少な過ぎるためであって、空港が多すぎるということではない。これは“網路效果(ネットワーク効果)”によるもので、たとえば雲南省には“支線機場(支線空港)”<注3>が12カ所もあるが、ネットワークが上手く機能しているので、12カ所の空港全てが黒字を計上している。

<注3>中国の空港は“幹線機場(幹線空港)”と支線空港に分類される。支線空港は年間の利用者数を延べ50万人に設定して建設された空港で、800~1500キロ以内の短距離輸送を主体とし、最大ではボーイング737の離着陸が可能。それ以上の規模の空港は幹線空港の範疇に入る。

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「中国航空事情:慢性化するフライト遅延に頻発する乗客の反乱」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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