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ハコモノ投資だけで内需は伸びない

2012年8月27日(月)

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 「ようこそ『世界の工場』東莞(ドングアン)へ」。広東省の東莞市に入ると携帯電話にショートメッセージが届く。同市は広州市と深圳市そして香港の中間に位置する製造業の好適地。このため、改革開放政策が始まって以降、外国メーカーが加工を委託する工場が多数建設された。衣料品から電子部品に至るまで各種工場が集積する工業地帯となった。中国が「世界の工場」へと発展するのに東莞市は大きく貢献したのだ。

「廃墟」と化した巨大モール

 ところが最近は旗色が悪い。人件費の高騰が続き、労働集約型の製造業はより安い労働力を求めて中国の内陸部や東南アジアに移りつつある。東莞市内には空き工場が目立ち、街中には厭世観さえ漂う。

 東莞市政府も手をこまぬいていたわけではない。外需に依存した製造業だけではなく内需産業も振興させようと手を打ってきた。その1つが2005年に開業した「新華南モール」だ。

 45万平方メートル(東京ドーム約10個分)という広大な敷地に、商店やレジャー施設だけでなく、オフィスや住居まで含む巨大複合施設として計画された。開発を主導した不動産会社はそのサイト上で、当時としては世界最大級の商業施設であり「ニューヨーク・タイムズ」に記事が載ったとアピールしている。

2005年に開業した東莞市(広東省)の「新華南モール」。テナントが入らず廃墟同然だ

 それにもかかわらず、今は見るも痛々しい姿に変わり果てている。記者が訪れた7月中旬は夏休みの真っ最中だったが、人影はまばら。営業している店舗は大通りに面した「マクドナルド」など数軒だけで、ざっと見たところ、ショッピングモールの約9割はテナントが入っておらず空いたままだった。

 昼間でも薄暗いモールの内部を歩くと悪臭が鼻を突く。弁当の食べ残しや人糞、そして使用済みコンドームなどゴミが散乱しており、「廃墟」と化していると言っても過言ではない。開発段階で8000台を収容する予定だった立体駐車場には、暗いせいかクルマは1台も見当たらなかった。

 逆説的には、新華南モールは今の中国を象徴する施設とも言える。地方政府が実現性の乏しい事業計画に基づいて不動産開発を進め、成功がおぼつかない事例は枚挙に暇がない。土地を売却した地元政府と不動産業者には大金が入り込み、建設によってGDP(国内総生産)は確実に増える。しかし、それで地元住民は豊かになっているのだろうか。

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「ハコモノ投資だけで内需は伸びない」の著者

坂田 亮太郎

坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経ビジネス副編集長

東京工業大学大学院修了後、98年日経BP入社。「日経バイオテク」「日経ビジネス」を経て2009年から中国赴任。北京支局長、上海支局長を経て2014年4月から日経ビジネスに復帰

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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