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中国悪女の系譜 江青の末裔と呼ばれた谷開来

らつ腕弁護士として名をはせ、「怖い女」と言われた

2012年8月29日(水)

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 安徽省合肥中級法院(地裁)は20日、英国人実業家ニール・ヘイウッド氏殺害事件の主犯として、谷開来被告(前重慶市委員書記・薄煕来氏の妻)に執行猶予付き死刑(死緩)の一審判決を言い渡した。共犯の薄家の使用人、張暁軍被告は懲役9年。ともに上訴はしなかった。

 死緩というのは執行猶予の2年間、反省の意が認められた場合に無期懲役に切り替わる中国独特の刑罰で、「本当ならば死刑になるところだが情状酌量の余地があるから見逃してやる」というニュアンスがある。中国直轄市現役書記で一時は副首相になるか、政治局常務委(党中央指導部)入りするかと噂された政治家の妻、しかも敏腕弁護士という立場で、金銭トラブルで外国人の計画殺人に主犯として関わるという前代未聞のスキャンダラスな事件の結末としては、やはり軽めの判決だと言わざるを得ないだろう。

 しかも、60億ドル以上と推測されるヤミ送金の背景も裁判では明らかにされず、薄煕来氏の関与にもふれられなかった。これは彼女の政治背景と、第18回党大会を前にした権力暗闘も関係があるだろう。その意味で、政治的判決なのだ。わざわざ胡錦濤・国家主席の出身地である安徽省合肥の地方裁判所で行ったのもそう言うことだ。もちろん死刑判決に慎重であったからといって、国際社会から批判受けることもない。

 法廷にはテレビカメラも入ったが、画面に映った谷被告の顔は、浮腫でムーンフェイスのように膨らみ、そのせいで美容整形の古傷があらわになっていた。あまりに人相が違うので、身代わり説まで流れたほどだ。だがギラギラした挑戦的な目は昔のままの谷開来だった。この野心と欲望をむき出しにした激しい目つきに想起するものがある。31年前の四人組裁判でやはり死緩の判決を受けた毛沢東夫人の江青女史だ。その半生を振り返っても、彼女はまさに江青の後を継ぐ、中国悪女の正しい系譜にあるといえそうだ。今回は中国悪女考を少々。(以下、敬称略)

美男美女の似合いの夫婦だった

 「あれは恐い女だ…」

 彼女と仕事をしたことがある人は言う。薄煕来が大連市委書記時代、日本の企業が大連で仕事をしようとすると、彼女を代表とする開来法律事務所を紹介されたという。法律顧問を開来事務所に依頼すれば、どんなトラブルも百戦百勝、逆に彼女の顔がなければ司法は動かせない。不利な証拠はいかなる手を使ってもすべて潰し、いざとなれば交通事故を装った口封じすらいとわない、そういう種類の恐さだった、という。

 谷開来は、薄煕来と並べば、ともに国際派の知的な美男美女の似合いの夫婦だ。しかも、ともに開国将領の子女、2人が組めば、別に悪事を働かずとも合法的に欲しいものが何でも掴めそうな強い政治的背景を備えている。なのになぜ、彼女はつまずいてしまったのか。

 谷開来の人生は順風満帆ではないにしろ、悪くない。父親は人民解放軍少将の谷景生、12・9抗日運動(1935年12月9日)の発起人であり、新疆軍区政治委員も務めた。母親は八路軍女兵士、山西省太行山区遊撃隊長として勇名をはせた範承秀で現在90歳でなお健在、娘の減刑を懇願しに北京や重慶を奔走したとも伝えられている。谷は58年11月、この夫婦の5人姉妹の末っ子として誕生した。革命家のサラブレッドの血筋である。

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「中国悪女の系譜 江青の末裔と呼ばれた谷開来」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト