まるで紅衛兵だ、と思わずつぶやいた。そうすると、いやいや義和団<編集部注>でしょう、という答えが帰ってきた。ツイッターという、極めて速報性の強いインターネットツールによって、9月15~16日に全国50~100都市以上で同時に発生した反日デモの群衆のものすごい蛮行を目の当たりにして、中国で何が起きているのか、と肝胆を寒からしめた人も多いのではないか。
愛車の日本車を叩き壊して愛国をアピール
風光明美な美しい地方都市・青島ではミツミ電機など日系企業に次々に火がかけられ黒煙をあげて炎上していた。市民から愛されていたはずの黄島区のジャスコは破壊と略奪の限りが尽くされ、被害総額は2億元を下らないという。西安では日本人が泊まっているホテルに、日本人を出せと要求するデモ隊が突入、ロビーで機動隊と衝突した。
同じく西安で中国人学生がデモ隊に踏みつけられて死亡したとか、日本車のカローラに乗っていた中国人男性がデモ隊に引きずり出されて頭を殴られ意識不明の重体になったとか、中国人の被害について微博(中国のマイクロブログ)に流れていた。
湖南省・長沙では日系スーパー平和堂3店舗が打ち壊し略奪にあった。そのほか各地で、日本車ディーラーが焼き討ちにあい全焼した。コンビニも百貨店の高級ブランド店も略奪にあった。デモ隊の中には「毛沢東」の肖像画を掲げるものもあった。8月19日のデモのように「蒼井そらは世界のもの」といったユーモアのあるスローガンは今回はほとんどなく、「日本人男を殺しつくせ、日本人女を犯しつくせ」といった物騒な言葉が飛び交った。香港企業のワトソンなど日本商品を置いている店舗も襲撃のターゲットになった。
日本製品を持っている者は、ロゴを五星紅旗で覆い隠した。自ら愛車の日本車であることを告白して叩き壊し、愛国をアピールする者もいた。中国人の中産階級が愛用する日本衣料品ブランド・ユニクロは「釣魚島が中国の領土であることを支持する」という張り紙を張って、略奪を逃れた。日本人は中国人や韓国人のふりをして身の安全を図った。
それはまるで文革時に紅衛兵の吊るし上げを逃れるために、泣く泣く自らの手で舶来品を叩き壊したりチャイナドレスを切り裂いてみせたり、毛沢東の写真を掲げるのと同じ方法の自衛策である。自分の安全のために家族や友人を密告する悲劇がまだ起きていないが、この方向がエスカレートすれば、日本人と結婚している中国人はけしからん、叩き出せといった人身攻撃に発展するのではと、不安になってしまう。
この事態は「プチ文革」と呼んでもいいくらいだ。2005年にも2010年にも反日デモは起きた。最近では8月19日にも全国20カ所以上で反日デモは起きた。しかし、今回の反日デモは規模も被害も予想を超えた。いったい、なぜこんな酷い反日デモが起きたのか。
<編集部注>清朝末期に排外運動を行った結社
こんな暴動で驚いたり憤慨しているようでは、中国4000年の歴史を知らないと白状しているようなものです。例えば「旗を立てる」という言葉をご存知でしょうか?中国の家には、古来より権力激動に備えて、自分の家が襲撃に遭わないようにいくつもの「旗」を用意して、臨機応変に家の屋外に掲げています。70年前なら「日本軍歓迎」「国民党歓迎」「人民解放軍歓迎」と3つの旗を、今なら「尖閣は中国の領土だ」「毛沢東万歳」とかです。では、こういう「旗」をどのタイミングで掲げるのか。そこには中国共産党ですら把握できない、先祖から受け継いだ中国の【地下組織】があります。その組織からの情報を受け取れる中国人だけが、惨禍を逃れることが出来るのです。したがって、文革や義和団などと狭い視野で中国を考えないことです。戦乱(暴動)など、いつ起こってもいいように、中国の地下組織と通じることが日本企業に求められていると思います。(2012/09/19)