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尖閣問題にオバマ政権が無関心なわけ

2012年9月21日(金)

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 尖閣諸島をめぐる中国との対立が激化している。

 尖閣で日中が対立すると必ず、「困った時の米国頼み」で、「尖閣諸島は日米安全保障条約第5条の適用対象になるのか」と大騒ぎし、米政府高官が「対象になる」との認識を示すと安心する傾向が、われわれ日本人には少なからずあるようだ。9月17日には、レオン・パネッタ米国防長官がアジア太平洋歴訪の最初の訪問国として日本を訪れ、記者会見でこのいつもの質問を受け、

「これらの島に関する米国の政策は明確に知られているところでありまして、当然のことながら私どもの条約に基づいた義務を遂行して、これは長年の間、そうでありましたし、変わっておりません」

 と述べていた。

 これを受けて日本のメディアの中には、尖閣周辺での日米合同演習などを提案するところもあるようだが、尖閣をめぐる中国との対立において、米国からの過度なサポートを期待するのは誤りだ。

 米国は「条約に基づいた義務」すなわち、日本が「武力攻撃」を受けた場合にはその防衛のために動く義務が生じるが、中国が「武力攻撃」に該当するような行為を行わず、じわじわと尖閣の実効支配を確立するような行動をとっていった場合、日本のために介入するようなことはないと考えられるからだ。少なくともそのような条約上の義務はない。

尖閣問題にオバマ政権が無関心なわけ

 「日本は尖閣諸島を有効に支配しており領有権問題は存在しない」というのが日本政府の公式な立場である。一方の中国は、尖閣諸島を台湾の付属島嶼と位置付けており、「尖閣諸島は日本が日清戦争を通じて掠め取った」ものなので、「台湾を解放し、尖閣諸島を(台湾の付属島嶼として)回復する」と宣言している。

 これに対して米国は「領土問題においては中立」という立場をとっている。先日訪日したパネッタ国防長官も、

 「米国の政策というのは、このような相対する主権に関する紛争においては肩を持たない、立場を明確に取らないということであります。私どもは平和裏にこの問題を解決して欲しいと期待しております。もちろん、現在その管轄に関する領有権に関する違いが双方にあるということは承知しておりますが、外交的な手段を双方が活用することによりまして、何とか建設的にこれらの問題を解決していただくことを望む次第であります」

と述べていた。

 日本政府は「領有権問題は存在しない」と主張しているが、この日本政府の立場は明確にパネッタ長官に否定されてしまっている。「領有権問題は存在する」「これに関して米国は一方の肩を持たない」と同長官は述べているのである。この事の意味をわれわれはもっと深刻に受け止めるべきではないか。

 日本の識者の中には、「米国は中国の封じ込めを狙っている」、中国のいわゆる「接近阻止・領域拒否(A2AD)」能力を警戒し、「エア・シー・バトル構想を進めている」、「日米同盟を重要視している」、だから日本を助けてくれるはずだ、と過度に米国に期待し、日米同盟さえ強化しておけば大丈夫、そんな風に考える風潮があるように思える。

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「尖閣問題にオバマ政権が無関心なわけ」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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