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ドイツ憲法裁がドラギECB総裁に突きつけた挑戦状

ESMを容認した判決に隠された刃とは? 

2012年9月26日(水)

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 2012年9月12日。ドイツのある裁判所がヨーロッパの経済史に残る判決を下した。
 この日、ユーロ圏加盟国の首脳だけでなく、世界中の通貨当局、金融関係者の目が、ドイツ南西部のカールスルーエにある連邦憲法裁判所に注がれていた。同裁判所の第二法廷は、過重債務国を救うEUの緊急融資機構「欧州金融安定メカニズム(ESM)」にドイツが参加することの合憲性について審理していたのである。

金融市場は安堵

 赤い法衣をまとったアンドレアス・フォスクーレ裁判長が読み上げた判決文は、世界中の金融市場に安堵をもたらした。憲法裁が、「ドイツがESMに参加することは合憲」と判断したからである。フォスクーレ氏は判決文の中で「債務過重国に対する救済措置以外に、リスクの少ない選択肢はない。ユーロ圏加盟国が債務不履行に陥った時の政治的・経済的なダメージははるかに大きい」と述べ、ドイツは救済措置に加わるべきだとする政府の姿勢を後押しした。

 この判決を受けてアンゲラ・メルケル首相は「ドイツにとって、そしてヨーロッパにとって良い日だ」と述べ、憲法裁が政府と議会の判断を追認したことに喜びを表わした。イタリアのマリオ・モンティ首相も「大変良いニュースだ。これで、ESM条約の発効を妨ぐ物はなくなった」と判決を高く評価した。

 日本のマスメディアもこの判決について速報した。ただし、この判決が持つ意味や訴訟の背景について細かい分析はしていない。憲法裁の裁判官たちは判決文の中に、欧州中央銀行(ECB)に対する強い批判を込めている。日本の報道はそのことについて触れていない。

 そこで今回は、ユーロ危機を理解する上で重要な意味を持つこの憲法裁判決について、詳しくお伝えしたい。

ユーロ危機に対する最大の武器・ESM

 この裁判で、何が争われたのか。

 ESMは、過重債務のために国債を売れなくなり国家破綻の危機に陥った、ギリシャやポルトガルのような国を支援する上で、最も重要なメカニズムだ。EUは2010年にEFSF(欧州金融安定基金)という融資機関を暫定的に設置し、債務危機が深刻化したギリシャに緊急融資を行った。ESMはこれを恒久化するもの。ESMは、過重債務で危機に陥った国々に対して、最高で総額7000億ユーロ(約70兆円)まで融資できる。

 つまりESMは、欧州諸国がユーロ危機と戦う上で最も重要な「武器」なのである。

 融資に必要な資金は、ユーロ圏に加盟している17ヶ国が拠出・保証する。その負担割合は、ECBが経済規模に応じて決定した。ヨーロッパ最大の経済パワーであるドイツは27.1%を負担する。金額にすると、ドイツが担当するのは1900億ユーロ(19兆円)。217億ユーロを拠出し、1683億ユーロを保証する。

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「ドイツ憲法裁がドラギECB総裁に突きつけた挑戦状」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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