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尖閣防衛のカギは台湾にある

近くて親日な国を味方につけろ

2012年10月31日(水)

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台湾で再スタートを切る日本人芸人

 中国芸能界では何人かの日本人芸能人が活躍していたのだが、9月のひどい反日デモ以降、彼らが仕事を干されて大変だという。

 中でも2006年から上海を拠点に活躍しているお笑い芸人のねんど大介さんは、私も何度か取材しよく知っている。反日デモ後に彼は電話をかけてきて「テレビ・イベント、軒並み中国の仕事がキャンセルになりましたよ。25本あった仕事のうち、22本がキャンセルです」と嘆き声をあげてきた。

「中国ラジオ映画テレビ総局が日本人タレントを使うな、と各テレビ局に通達を出したんです。もう中国で仕事を続けるのは難しいですかね」

 ねんどさんは、ワハハ本舗所属の芸人さんで、2006年から上海を拠点に活躍の場を広げてきた人だ。中国の雑技団が公演のための来日の際、バックステージを手伝ったとき、雑技団の空中ブランコの少女が好きになり、天津まで追いかけて自身も雑技団に入団してしまったのが中国にかかわった始まりだとか。恋は実らなかったが、ステージビジネスの世界でお互いを励ましあうような良い友人を得て、中国芸能界に単身乗り込んだ。

 とにかく中国語が流ちょうで上海語はじめ地元方言を交えた中国語コントや話芸でデビュー。上海万博のときは日本産業館の主なイベントの司会をこなしたのをきっかけに、中国のテレビのバラエティ番組のゲストや人気連続ドラマの客演俳優としても顔が知られるようになった。

 だが、この秋以降は仕事がほぼすべて干されてしまった。「2005年の反日デモのあと、日中関係が厳しいと言われる中、お笑いの力で反日感情なんて吹き飛ばしてやるぞ、という意気込みで、中国に乗りこみました。でも、まさかここまでひどい状況になるとは」とうなだれていた。

 彼はいったん日本に帰国。「反日デモで仕事をなくした日本人芸人」という自虐ネタで日本の番組にも出演したあたり、さすが芸人さんはたくましいな、と感心させられた。しかし、そんな仕事は長続きしない。なによりも彼の得意とする「中国語のお笑い」が使えない。いろいろ迷った末、「11月から台湾で再スタートを切ってみます」と拠点を台北に変える決断をした。

 台湾メディアも今はほとんど中国資本が入っているが、日本人タレントの市場は本当にあるのか、と心配して尋ねると、ねんどさんは「先日、台湾に行ってテレビ局周りをしてみたんですけど、日台漁業協定さえうまくいけば何の問題もないといわれました」という。

 そう言われて、改めて考えてみると、ねんどさんの決断は非常に意義のあることだと気付いた。尖閣諸島を守る意味でも、対中外交で有利に立つ上でも、今、最も優先すべきは台湾との関係なのだと。

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「尖閣防衛のカギは台湾にある」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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