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本当のチベットの姿を考えてみてください

なぜ抗議の焼身自殺が後を絶たないのか

2012年11月14日(水)

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 1カ月以上前の話なのだが、大型書店の雑誌フロアで、ひときわ美しい写真装丁のチベット特集ムック本がかなりの棚を占めて飾られているのを見かけた。「美しいチベットの未来」とサブタイトルがついた旅行誌だ。

 この特集は一見、何の罪もないチベット旅行本に見えるのだが、実は一部のチベット研究者や在日チベット人、あるいはチャイナウォッチャーからたいそう評判が悪い。というのも「まるで中国共産党の機関誌」と陰口がたたかれるほど、言う必要のないフリーチベット運動の批判が至るところにちりばめられているからだ。いわく「フリーチベットと叫ぶ演歌にも似た哀愁は絵空事のよう」「チベット支援団体はCIAの支援を受けている」…。

 チベット圏で外国メディアが写真を撮ったり取材したりするのは、中国共産党当局の許可と監視、指導を受けなければならず、どうしてもチベット特集番組や特集記事は中国共産党側の立場で情報を発信せざるを得ない。それでも多少の良心があれば、政治的な話題をはずして、美しい風景や興味深い文化、グルメのみの紹介にとどめておいたり、微妙な表現で現実の迫害状況をなんとなくにおわせたりする努力ぐらいはするものだ。

 だが、この雑誌は明らかに中国側の政治的立場に偏りすぎている。もちろん、著名なチベット史研究者の石濱裕美子氏のインタビューもあり、バランスを取ろうとしているところも見られるのだが、編集が下手なせいか、プロパガンダ臭が強烈すぎて、他の興味深い企画や寄稿、インタビュー記事などの良さも消し飛んでしまっている。その石濱氏が自身のブログで、よほど腹立たしかったのだろう、この雑誌に描かれている美しいチベットは「本当のチベットではない」と批判している。

相次ぐチベットの悲惨なニュース

 この雑誌のことを今改めて思い出したのは、ダライ・ラマ14世がちょうど訪日中で、13日には国会議員会館にお迎えして特別講演を行ってもらったからだ。140人近い国会議員が出席し、「チベット問題を考える議連」が「チベット支援議連」と名を新たにして立ち上げられた。中国側が強い圧力をかけてくる中、これだけの国会議員が集まったのは、それだけ今、チベットで起きている弾圧状況を見過ごせないと思う人が増えたということだろう。

 チベット地域で僧侶や尼僧、信者らの中国共産の宗教弾圧、人権弾圧への抗議の焼身自殺が続いていることは、この連載コラムを読んでくれている人はすでにご存じだろう。2009年以降、すでに累計70人以上が焼身自殺を図り、60人近くが犠牲になっている。

 中国共産党の次期中央指導者が選出される第18回党大会開幕日の8日をはさむ4日の間に7人が焼身自殺を図った。このうち15歳の少年を含め4人が死亡した模様だ。9日には青海省のレプゴン(黄南チベット族自治州同仁県)で学生を中心に1万人規模のデモが発生し、学生らは学校で掲揚されている中国国旗が引きずりおろし、政府市庁舎前で「フリーチベット」「ダライ・ラマ14世の帰還」を訴えたという。自由アジア放送などが伝えた。

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「本当のチベットの姿を考えてみてください」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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