• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

“永遠の落第生”ギリシャの絶望

破られ続ける約束に、強硬派にもあきらめの声

2012年11月20日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 相変わらず、小国ギリシャがヨーロッパをかき回す台風の目となっている。マーケットの反応には表われていないが、この国をめぐる情勢は、債務危機が表面化した3年前に比べて悪化している。そのことは、EU法に完全に違反する「公的金融機関による債務の減免」すら議論の対象とせざるを得なくなったことにはっきり表われている。

振り込まれなかった315億ユーロ

 2012年11月12日、月曜日。ユーロ圏加盟国の財務大臣たちは、ブリュッセルで深夜まで会議を続けた。しかし、ギリシャが必要とする315億ユーロ(約3兆1500億円)を振り込むための条件についての新たな合意に達することができなかった。この315億ユーロは、今年8月には同国政府の口座に振り込まれるべきものだった。

 この4日前に、ギリシャ議会は、年金支給額の削減などによって総額135億ユーロ(約1兆3500億円)の歳出を削減するための法案を可決した。これは、EUがギリシャに資金供与する条件の一つだった。条件を満たしたにもかかわらず、ユーロ圏加盟国はなぜギリシャに資金を振り込まなかったのか。

 その最大の理由は、ギリシャの財政状態が、通称トロイカ――欧州委員会、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)――の予想を上回って悪化していることにある。トロイカは、同国の財政状態があまりにひどいため、EUとIMFは、今年2月に同国が約束した財政黒字化の達成期限を、2年間延ばさざるを得なかった。

 ギリシャの財政悪化のため、トロイカ・グループの監査団による報告書も、本来は9月に完成するものが大幅に遅れた。監査を3回も中断して、ブリュッセルに舞い戻り対応策を協議しなくてはならなかったからだ。トロイカはこの財政報告書を11月12日に、各国の財務大臣に提出した。

 振り込みは、本稿を執筆中の11月19日時点でも行われていない。

悪化する財政状態

 EUは今年2月に決めた第2次救済パッケージに基づき、今年8月にギリシャ政府の口座に315億ユーロを振り込む予定だった。だが監査団の報告書は、そのための2つの前提が崩れたことを明らかにした。

 1つは債務比率をめぐる目標である。ギリシャの不況が急速に悪化したために、同国の国内総生産(GDP)が今年は6%、来年も4.5%減るという悲観的な見通しを明らかにした。つまり、ギリシャ経済は2008年以来、6年間にわたりマイナス成長を記録することになる。

 ギリシャの公的累積債務が国内総生産(GDP)に占める比率(債務比率)は、2011年には165.3%だった。EUが2012年3月に決めたギリシャの第2次救済プログラムによると、同国はこの債務比率を、2020年までに120%に下げることを約束した。だが、監査団は「2013年の債務比率は逆に上昇して、約190%になる」と予想している。つまり、今後8年間で債務比率を120%に下げるという目標の達成は絶望的になった。

コメント0

「熊谷徹のヨーロッパ通信」のバックナンバー

一覧

「“永遠の落第生”ギリシャの絶望」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

企業や官公庁の幹部のメールボックスの内容が、まるごと数十万〜数百万円で売られている事例もある。

名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官