• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

ユーロ危機と「欧州合衆国」の幻

ユーロ圏諸国は政治同盟を創設できるか?(上)

2012年11月30日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 この連載でユーロ危機を取り上げ始めたのは2011年の11月だった。それから既に1年以上が過ぎた。だが、この間に、債務危機をめぐる情勢が全く好転していないことに驚く。

ECB国債買い取り戦略の効果

 読者の中には、「スペインやイタリアの事態は落ち着いたではないか」とおっしゃる方もいるだろう。確かに、今年の秋以降、スペインとイタリアの10年物国債の利回りは、危険水域とされる7%を割っている。その理由は、(1)欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁が2012年9月に「債務過重国が緊縮策を実行すれば、ECBは国債を無制限に買い取る」と発表したことや、(2)ユーロ圏加盟国が「域内の銀行を監視する規制当局が設置されれば、ESM(欧州安定メカニズム)は銀行に資金を直接融資できる」と決定したことにある。ECBがこれまでの戦略を大きく変更し、ドイツの反対を押し切って国債の買い取りを正式に発表したことは、マーケットを落ち着かせる上で特に大きな効果があったようだ。

 だが、ECBは国債を無条件に買い取るわけではない。「EUが債務過重国に課した緊縮策や経済改革を実行すること」が条件である。つまり債務過重国が「宿題」をさぼった場合、ECBは国債を買い取らないのだ。その意味でスペインやイタリアは、抱える問題を根本的に解決しれたわけではない。

 例えばECBの幹部イェルグ・ラスムッセンは、11月15日にベルリンで「マーケットの圧力が一時的に弱まったからと言って、過重債務国は改革努力を緩めてはならない。これらの国々の構造改革には10年かかる。我々は、まだその構造改革の真っただ中にいる」と講演し、楽観論を戒めている。

ギリシャの財政状態は悪化

 また前回お伝えしたように、債務危機の発火点であるギリシャの財政状況は、危機が顕在化してから丸3年たっても回復していない。

 11月27日に「EUとIMFがギリシャに対する融資を再開することで合意した」というニュースが、日本でも報じられた。読者の中には、「融資を再開したのだから、良いニュースではないか」と思われる方が多いかもしれない。もちろんユーロ・グループは「快挙」という見方を喧伝している。

 しかし実際には、この合意内容はギリシャという患者の容態が3年前よりも悪くなっていることを反映しているのだ。日本の多くのメディアは、この融資再開に至るまでEUとIMFがいかに激しい議論を展開してきたか、ギリシャの状況がいかに悪化しているかについて触れていないので、読者には問題の真相が伝わっていない。

コメント1

「熊谷徹のヨーロッパ通信」のバックナンバー

一覧

「ユーロ危機と「欧州合衆国」の幻」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

定年後の社会との断絶はシニアの心身の健康を急速に衰えさせる要因となっている。

檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師