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“良き独裁”強化か、民主化への政治改革か

中国の近未来予測

2012年12月13日(木)

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 先日、中国の作家、陳冠中さんが来日した。中国研究所が主催する彼の講演会に行ってきた。来日目的は彼の代表作の邦訳『しあわせ中国 盛世2013年』(新潮社)が出版されたことを受けてのプロモーションである。

 この小説は2009年に香港、台湾で出版され、発禁扱いであった中国国内でも、かなり話題になった。というのも小説の背景が、近未来である2013年の中国で、一種の予言小説で寓意にみちた内容だからである。細部が現実めいていて、まもなくその2013年がやってくる今、読み返すと、本当に中国の未来はこの小説の方向に向かっているのではないか、と背筋が寒くなるような気分になる。

 盛世。この小説に描かれているような、人民がみな幸せで国が栄え絶好調の時代が中国に本当にくるのか。その中国の盛世の「しあわせ」とは、本当の幸せと言っていいのだろうか。今回は、陳さんの話も参考に、中国の近未来について、考えをめぐらしてみたい。小説の内容にも少しふれるので、「ネタバレ」を心配する方はご注意ください。

作家、陳冠中が予言した2013年の「盛世」

 「盛世」とは、国が栄えている勢いのある時代を指す。

 中国のネット百科事典によると、6つの条件があり、国が安泰で、民が安らかで、国が富み、民の暮らしが満ち足り、国が強く、文化が隆盛である、時代という。特にこの文化隆盛というのがポイントらしい。この条件を満たすには、内政的には政治がクリーンで経済が繁栄し、民族が団結し、民生が安定し、科学が発展し、思想が活発で、対外的には軍が強大で、貿易が繁栄し、周辺国への影響(支配)力が強い、などが挙げられている。

 一般的に中国で四大盛世と言われるのは、漢代文景盛世(西漢、文帝、景帝時代)、隋代開皇盛世(文帝治世の開皇年間)、唐代開元盛世(太宗皇帝治世開元年間)、明代永楽盛世(永楽帝治世)。一番最近の盛世は、清朝の康乾盛世(康熙帝から乾隆帝の治世)だ。その後、中国は盛世と呼ばれる時代はなかった、と陳さんは言う。

 ところが北京五輪のころから急に、中国で「盛世」という言葉がはやり出した。不動産の名前などに盛世が用いられ、いろんなセールスの文言に引用された。五輪を経験し、経済の繁栄を実感した中国人たちが自信を持ち始め、いまこそ、中国わが世の春、と期待をこめて使いだした、と言われている。このころ、同じように「大国崛起」という言葉も流行っていた。GDPが日本を追い越すかどうか、と期待が盛り上がっていた。中国経済が世界経済をけん引すると言われていた。

 しかしその一方で、五輪を境に、言論統制、インターネット統制が一層強化され、貧富の格差が一層ひらき、官僚汚職が一層めだち、各地で官民衝突・暴動が多発し、民主活動家やチベットやウイグルへの弾圧が激しくなってきた。

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「“良き独裁”強化か、民主化への政治改革か」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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