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安倍氏は“タカ派”か“氷を溶かした人か”

期待と不安半ばに手の内をうかがっている

2012年12月19日(水)

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 衆院選挙が終わった。民主党の惨敗ぶりと自民党の圧勝ぶりがここまでとは、私もさすがに思わなかった。民主党にもいい政治家はいるので、もともと自民党寄りの私ですら、少々気の毒に思う。

 もっとも自民党側は、この投票結果が自民党支持よりも民主党政権不支持の結果であることは分かっているようで、インタビューに答える安倍晋三総裁の表情も硬かった。

 どこが政権を担おうが、誰が首相になろうが、今の日本の運営が極めて困難であることは変わりなく、26日にも組閣されるであろう安倍新内閣は何をやっても、厳しい抵抗や批判にあうことは想像に難くない。願わくば、本筋と関係ない揚げ足とりのような揶揄に振り回されることのなく、政治に専念できる政権であってほしいものだ。

 ところで、間もなく誕生する安倍新政権に中国側はどのような期待を寄せているのだろうか。今回のコラムは中国側が安倍新政権をどのように見ているのか探ってみる。

安倍政権が日中関係を悪化させない根拠を探している

 公式メディアの報道を見るに、「右翼の安倍政権」への懸念を示す報道もあるが、間もなく登場する2度目の安倍政権に対しては比較的冷静に受け止めている。「日本メディアによれば、安倍自民党総裁は日中の新たな戦略的互恵関係の構築を考えている。釣魚島問題については日中経済およびその他の関係にできるだけ影響を与えさせないようにする、と話している」(中国新聞)といった報道も多い。

 むしろ、ネットユーザーが好き放題言える百度掲示板では「安倍晋三」のキーワードでスレッドが立たないようにしており、「安倍論評はひとまず様子見」の姿勢だ。

 反日的報道で売り上げを伸ばす大衆紙・環球時報ですら、「選挙戦では尖閣に公務員を派遣するといった強硬な発言をしているが、その可能性は大きくない。安倍氏は首相になれば、まず日中関係の修復に動く」という在日米学者・ジェフ・キングストン氏の「外交政策」誌上の発言を引用する台湾中央通信の記事をわざわざ引用転載している。つまり、中国側は、安倍政権が日中関係を悪化させないという根拠を探し求めている。

 知日派中国人の「安倍観」については、「A級戦犯容疑者・岸信介の孫でばりばりのタカ派」とい見方と、2006年から2007年の最初の首相時代は日中関係修復に努めた「氷を溶かした人」であったという記憶の両方が共存する。

 振り返れば、安倍氏は小泉純一郎政権時代には内閣副官房長官、官房長官を務めた。小泉政権は靖国参拝問題で中国との関係が冷え込んだと言われるが、政冷経熱と言われるように経済交流を含む民間レベルの交流や次官級クラス以下の交流は盛んだった。それこそ、テーブルの上で罵倒し合いながら、テーブルの下で握手する「中国的理想の外交」そのものであったかもしれない。なので、この時代の安倍氏に対するイメージは、官僚らの間では実務派政治家であった。

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「安倍氏は“タカ派”か“氷を溶かした人か”」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長