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20年間に100人以上の捨て子を育てた母

中国の児童福祉の不備が招いた悲劇

2013年1月18日(金)

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 2013年1月4日の午前8時40分頃、河南省開封市に属する“蘭考県”(人口:76万人)の“城関鎮”で火災が発生した。当日の午前8時42分に民家が燃えているとの火災通報を受けた蘭考県消防隊は8時48分に火災現場に到着し、全力を挙げて消火活動を展開した結果、火災は10時30分に完全に鎮火した。鎮火後に判明したところによれば、不幸にもこの火災事故によって死者7人と負傷者1人が発生したのだった。この火災事故は“蘭考1.04火災(蘭考県の1月4日火災)”(以下「104火災」)と命名されたが、それは単なる火災事故では終わらなかった。

赤ん坊の時に捨てられた子供たちが被害に

 その理由は死傷者8人の構成にあった。すなわち、死者7人の内訳は、(1)先天性小児まひの男性1人(年齢:20歳前後)および(2)5歳以下の児童6人(男児4人、女児2人)であり、負傷者1人は先天性小児まひの10歳の男児であった。負傷者の男児は“開封市第二人民医院”に搬送されたが、「気道熱傷(熱や煙の吸引により生じた呼吸器系の障害)」と診断され、全身の火傷面積は5~6%で、集中治療室(ICU)で懸命の治療が行われている。

 その後に判明した死傷者の氏名は以下の通りである。

【死者】
・袁五孩(男)20歳くらい
・袁小雨(女)5歳くらい
・袁扎根(男)4歳
・袁儍妮(女)3歳
・袁小唖巴(男)2歳
・赤ん坊<名前無し>(男)1歳
・赤ん坊<名前無し>(男)7カ月くらい

【負傷者】
・袁小十(男)10歳くらい

 上記の氏名から判ることは、全員が“袁”という姓だが、その名前は“小雨”以外は中国人が通常名付けるものではない。すなわち、個々の名前の意味は、“五孩”が「5番目の子供」、“扎根”が「根を下ろす」、“儍妮”が「お馬鹿な女の子」、“小唖巴”は「口のきけない子供」である。

 どうして彼らにはこのような名前が付けられたのか。しかも、彼らの年齢を見るとどう考えても本当の兄弟姉妹とは思えない。それもそのはずで、彼らはすべて赤ん坊の時に捨てられた子供たちであり、火災で焼けたのはそうした不幸な子供たちを長年にわたって育てていた“袁厲害(えんれいがい)”の住宅であったのである。

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「20年間に100人以上の捨て子を育てた母」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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