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日系工場でストライキが多発する本当の理由

労務管理が厳しい割に給料が安いとの声も

2013年1月30日(水)

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 年明け早々に上海の日系工場のストライキが報道された。普通のストライキではない。ワーカーが工場を占拠し日本人経営陣ら10人を軟禁したかなり暴力的なものだ。中国人はそこまでやるのか、と驚いた人もいるだろう。表沙汰にならないだけで、労使間のトラブルで労働者側が雇用者を拉致したり、監禁したりという事件は実は、日系企業に限らず、昔から中国ではしばしば耳にする。しかし、この数年は確かに日系企業でストライキが多発しているようだ。専門家に聞けば、やはり日系企業はストライキのターゲットにされやすい背景があるという。

威圧的な労働契約条項に反発

 今年に入ってから起きた、上海のストライキ事件について地元紙の報道などから改めて解説しよう。

 1月18日朝から、上海市閔行経済開発区にある日系企業・上海神明電機有限公司の工場で約1000人の女性ワーカーがストライキを起こした。興奮したワーカーたちは管理オフィス棟を取り囲み、ちょうど出張に来ていた日本本社の社長ら出張者を含む日本人経営陣10人と経営管理サイドの中国人社員8人を閉じ込め、要求をのむまで外に出さない姿勢を見せるというかなり荒っぽいものだった。軟禁中はトイレに行く自由もなく、用をたすための空のペットボトルが投げ入れられただけだという。中国人社員の一人は持病の高血圧を悪化させ昏倒した。

 恐れをなした企業側は、地元当局に介入を要求。19日午後11時半ごろ、300人の警察機動隊の突入によって経営陣は救出され、ストは強制解除させられた。このとき4人のワーカーが拘束された。

 ワーカーたちの要請は、工場側がワーカーたちに提示した新たな契約書に盛り込まれた「49条の就業規則」の撤回だった。この企業は昨年秋、大連鵬成集団傘下の大連明進金属製造有限公司に買収されていた。日本の中堅電機メーカー・神明電機の上海工場であり、経営陣も日本人が残っているが資本上は中国企業となる。そこで経営刷新ということで、それまでの労働契約をいったん解除し、ワーカーに新しい労働契約条項を盛り込んだ契約書に署名するよう迫っていた。この新しい契約書は「覇王条款」と呼ばれるような、威圧的な厳しい条項が含まれていた。

 たとえば、遅刻1回50元、遅刻2回目は100元といった罰金の大幅な引き上げや、トイレ休憩1回2分以内、2回違反で解雇という厳しい管理条項も含まれていたという。月給2000元、宿舎補助はなし、など給与、福利厚生も改悪された。しかも中国では2008年から労働契約法が施行され、ワーカーの退職時には勤続年数×平均月給の退職金「経済補償金」が支払われることになっているが、この契約書の切り替えによって、会社が買収される以前の勤続年数が加算されなくなる可能性もあると、ワーカーたちの間で広まっていた。

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「日系工場でストライキが多発する本当の理由」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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