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映画「レ・ミゼラブル」に熱狂する韓国人

韓国の今を映し出す映画として社会現象に

2013年1月30日(水)

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 この冬、韓国では映画「レ・ミゼラブル」が大ヒットしている。「レ・ミゼラブル」を観ないと会話についていけないほどである。

 韓国で2012年12月21日に封切した「レ・ミゼラブル」は、1月22日時点で観客数が540万人を突破。ミュージカル映画としては、初めて500万人を越えるヒットとなった。映画チケットの予約サイトでは、封切から1カ月たった今もまだ人気ランキング5位内に入っている(東宝東和によると、1月16日時点の日本の観客動員数は248万人)。また、韓国の劇団による演劇「レ・ミゼラブル」、ミュージカル「レ・ミゼラブル」も連日満員御礼である。

 1巻から5巻まであるレ・ミゼラブルの完訳本は15万部が売れた。韓国の書籍市場では、1万部売れれば大ベストセラーと言われる。15万部は驚異的な数だ。

 レ・ミゼラブルは韓国で児童書として有名だった。ジャン・ヴァルジャンが飢えた甥のためにパンを盗んだ罪で19年も服役する。仮出所したものの、前科があるため仕事も寝る場所もなく、さまよう。一晩泊めてもらった聖堂で銀の食器を盗みまた捕まる。ところが神父さんは銀の食器は盗まれたのではなく自分が彼にプレゼントしたものだと言い、彼をかばう。さらに、銀のろうそく立てまでも持っていきなさいとジャン・ヴァルジャンに渡す。回心したジャン・ヴァルジャンは正直に生きることを誓い、その後立派な市長になった。めでたし、めでたし。これが、韓国人が知っているレ・ミゼラブルだった。ファンティーヌとコゼット、市民革命の話は登場しない。

 映画レ・ミゼラブルを観て、レ・ミゼラブルの本当のストーリーを初めて知り、原作を読んでみたいという学生や大人が増えた

 レ・ミゼラブルはミュージカル映画だけに、映画サウンドトラックのCDも3万枚売れた。韓国でCDが売れるのはとても珍しい。3万枚売れれば、ベストセラーと言える。韓国の音楽市場はiTunesのようなモバイルインターネット販売が主流で、CDなしの「デジタルアルバム」が多い。韓国を訪れる日本や中国からの観光客がお土産として買うくらいである。

観客はジャン・ヴァルジャンにわが身を重ねる

 韓国の小説家や政治家、俳優、大学教授といった著名人らはSNS上で、必ず観るべき映画として「レ・ミゼラブル」を勧めている。Twitterやポータルサイトの映画掲示板には、こんな書き込みが続いている。
 「レ・ミゼラブルを観ている間ずっと泣いていた。ラストシーンでは思わず拍手してしまった」
 「極端なほどに広がった貧富の差、激しさを増す市民革命など、今の韓国を観ているようで泣けた」
 「ジャン・ヴァルジャンには慈悲と愛を教えてくれた神父様がいた。だけど、現実には慈悲なんてない。貧乏人は一度足を踏み外すと、極貧から抜け出せなくなる。ファンティーヌの身が自分のことのように思えて涙が止まらなかった」
 「最後に革命で死んだ人たちが登場し、大勢で『Do you hear the people sing?』を歌う場面で、『もう一度がんばろう』『めげないで立ち上がろう』という気分になれた」
ジャン・ヴァルジャンに感情移入して、2度3度と映画館に足を運んだ人も多い。

コメント4件コメント/レビュー

今回のコラム「映画レ・ミゼラブルに熱狂する韓国人」を興味深く拝読いたしました。そういった現象というのは、スポーツの日韓戦で韓国人が興奮するのとよく似た現象ではないか、と思います。心理学の用語で言えば「代障行為・代障機制」というものです。ある行為では満たされない気持ちを別の行為で満足させようとする行動です。例えば、韓国人の多くが日本を戦争でやっつけたいという願望があり、スポーツの試合で韓国チームが日本チームに勝つと多くの韓国人にとっては大変うれしい。こういった行動を「代償行為・代障機制」と言います。しかし所詮、スポーツはスポーツです。韓国がスポーツの試合で日本に勝ったからと言って、軍事的に韓国が日本に勝利した訳ではありません。また、同じように映画は映画です。映画「レ・ミゼラブル」がヒットし感動したからと言って、韓国民の現実が変るわけではありません、たいへん失礼ながら。自国を変革できるかどうかは、その国のもつ歴史や文化や教育に大きく根差した問題でしょう。特に、教育が大きく関係していると思います。ご指摘のように、嘘をついても問題ないと子供たちが考えている社会というのは、正常とは言えないでしょう。ここまで書いておいて失礼ながら、具体的にどのような対策をとるべきかは私にはわかりません。(2013/01/31)

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「映画「レ・ミゼラブル」に熱狂する韓国人」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

今回のコラム「映画レ・ミゼラブルに熱狂する韓国人」を興味深く拝読いたしました。そういった現象というのは、スポーツの日韓戦で韓国人が興奮するのとよく似た現象ではないか、と思います。心理学の用語で言えば「代障行為・代障機制」というものです。ある行為では満たされない気持ちを別の行為で満足させようとする行動です。例えば、韓国人の多くが日本を戦争でやっつけたいという願望があり、スポーツの試合で韓国チームが日本チームに勝つと多くの韓国人にとっては大変うれしい。こういった行動を「代償行為・代障機制」と言います。しかし所詮、スポーツはスポーツです。韓国がスポーツの試合で日本に勝ったからと言って、軍事的に韓国が日本に勝利した訳ではありません。また、同じように映画は映画です。映画「レ・ミゼラブル」がヒットし感動したからと言って、韓国民の現実が変るわけではありません、たいへん失礼ながら。自国を変革できるかどうかは、その国のもつ歴史や文化や教育に大きく根差した問題でしょう。特に、教育が大きく関係していると思います。ご指摘のように、嘘をついても問題ないと子供たちが考えている社会というのは、正常とは言えないでしょう。ここまで書いておいて失礼ながら、具体的にどのような対策をとるべきかは私にはわかりません。(2013/01/31)

実に興味深い。そうか、あの映画日本では思った程のヒットではないらしいと聴いていましたが、近現代日本では、原作(私も完訳を読んでいる)、本場仏製映画にドラマ、舞台公演、日本製アニメ、児童向けリライトetc.と供給が絶えた事が無いから皆知っているからですね。韓国ではそういうのが無かったのが意外でした、というよりフランス近代文学にこんなに需要と供給のある日本がアジアの中では稀だったのか、あるいはルブランの「ルパン」好きも合わせて調べてみると面白いかもしれない。(2013/01/30)

韓国だけではなく、日本も同じような状況。都会は潤っていても田舎は貧困者が多い。いかにお金を使わずに生活するかを毎日考えて生活せざるおえない。一度レールから外れたら中々戻れない。(2013/01/30)

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三品 和広 神戸大学教授