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習近平のトラ退治とハエ駆除

「党と国家の存亡の危機」を回避するための反腐敗闘争

2013年2月1日(金)

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 2013年1月22日、習近平総書記は中国共産党第18期中央紀律検査委員会第2回全体会議で“反腐敗(腐敗反対)”に関する重要演説を行った。習近平は中国共産党の党員に蔓延する腐敗の取り締まりに関して、「共産党を厳しく管理し、厳しく処罰し、決して手加減しないことを誓う」として次のように述べた。

 「“老虎(トラ)”と“蒼蠅(ハエ)”を同時に攻撃することを堅持し、指導幹部の紀律違反や違法行為を断固として調査し処罰せねばならない。また、一般大衆の身辺で発生する不正の風潮や腐敗問題を適切に解決しなければならない。党の紀律と国家の法律の前では例外はないという原則を堅持し、それが誰に関わるかにかかわらず、徹底して調査を行い、決して見逃すことがないようにしなければならない」

大きな腐敗も、小さな腐敗も

 この重要演説は中国メディアによって大きく報じられたが、中国のネットでは習近平が重要演説で言及した“老虎”と“蒼蠅”とは何を指すのかが議論の的となった。その正解は、“老虎”とは庶民の上に君臨して大きな腐敗を行う指導幹部を指し、“蒼蠅”とは庶民の周囲で小さな腐敗を行う官僚たちを意味するのだという。

 中国では“老虎”による大きな腐敗も“蒼蠅”による小さな腐敗も同時に多発しているため日常茶飯事化しており、庶民は腐敗に慣れて反応が鈍くなっている。その一方で、庶民には腐敗を問題として提起したくても提起する力がなく、共産党は腐敗を管理したくとも管理できないのが実態である。このため、反腐敗を唱えても腐敗は進む一方で、腐敗に反対すればするほど腐敗は増すばかりで減ることはない。だからこそ、こうした悪循環を断ち切り、“老虎”と“蒼蠅”を同時に取り除くことによって、中国共産党員による腐敗を根絶しようというのが習近平演説の主旨である。

 中国における従来の反腐敗闘争は、“殺一儆百(一人を殺して大勢の見せしめとする)”とか“殺鶏給猴看, 以警后人(鶏を殺すのを猿に見せて、後に続く人を戒める)”という形で、適当な誰かを見せしめとして処罰することで腐敗を抑制してきた。その適当な誰かとは往々にして“高官大貪(大きな汚職を行った高官)”であり、“抓大放小(大物を捕まえて小物を放置する)”という方式が主流だった。

 しかし今では、“大貪大腐(大きな汚職や大きな腐敗)”を行うのが高官たちだけに許された特権ではなくなり、“村官郷官(村や郷の役人)”といった小役人までが“大貪大腐”を行うようになっている。そうなると従来のような“殺一儆百”といった見せしめ方式では多数の腐敗役人を野放しにすることになり、腐敗で捕まるのは運が悪いからという投機的な心理を増幅させることにつながっていく。腐敗をしても捕まらなければ儲けは大きいから、腐敗をしない方がおかしいことになり、本来は清廉な役人もいつの間にか朱に交わって腐敗役人と化す。これは世の常と言わざるを得ないが、その原因は腐敗を容易に生み出す環境をただ漫然と放置していることにある。

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「習近平のトラ退治とハエ駆除」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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