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欧州の「異教徒」キャメロン英首相の挑戦状に、EUはどう答えるのか

チャーチルが描いた英欧関係に帰る?

2013年2月19日(火)

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 2013年は、欧州の歴史で分岐点になるだろう。年明け早々、英国のディビッド・キャメロン首相が欧州連合(EU)の未来を左右する演説を行ったからだ。彼は、「EUが改革されなければ、2017年に国民投票を行って、英国がEUに残留するべきか否かを国民に問う」という挑戦状を、欧州委員会に叩きつけた。

「民主主義の欠如」を批判

 私は前回のこのコラムで、「EUには民主主義的な要素が欠けており、その正当性(legitimacy)に大きな疑問が投げかけられている」と指摘した。この認識は、欧州に23年間住んでいる市民の1人として常々抱いてきた、皮膚感覚に基づいたものだ。キャメロンの演説も、正にこの点を厳しく突いている。

 日本のメディアは、1月23日にキャメロンが演説をした直後にはこれを報じたが、その後、この演説を詳しく論じた続報は見当たらない。今回はEU圏内で23年前から働いている者の視点で、この演説を分析してみたい。

 キャメロン演説に、歴史的な重要性を与えているものは、何か。それは2009年末に深刻化したユーロ危機を通じて指摘されてきたEU分裂の可能性を、欧州の大国の首相が初めて公式の場で確認したことだ。

 彼は「ユーロ危機のために、欧州は大きく変わりつつある」と指摘した上で、「EUが競争力を高め民主的性格の欠如を是正しなければ、英国人はEU脱退に向かうだろう」と断言したのである。

 ユーロ危機は、欧州大陸諸国と英国の関係を疎遠なものにした。私は、2009年以来ユーロ危機について執筆してきた中で、EUが2つに分かれつつあるという印象を、常々持ってきた。1つはユーロ圏に属する第1リーグ(17カ国)。もう1つはユーロ圏に属さない第2リーグ(10カ国)だ。

 過去3年間のユーロ危機に対する戦いで指導権を握ったのは、ドイツとフランスだった。頻繁に行われたEU首脳会議では、ユーロ救済が最重要の議題だった。このため、脚光を浴びるのは独メルケル首相や仏サルコジ大統領であり、ユーロ圏に属していない英国の首相ではなかった。キャメロンがリーダーシップを発揮する場は、皆無に等しかった。それどころか彼は、欧州大陸の国々が決めた改革案に「ノー」の票を投じて足を引っ張る「欧州の異教徒」と見なされる場面が多かった。EUで大きな存在感を持っていた前任のブレアー英首相に比べると、キャメロンの影は薄い。

 そのキャメロンがEU脱退につながりかねない国民投票の実施を宣言したことは、欧州大陸諸国と英国の間に横たわる溝を、決定的なものにした。

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「欧州の「異教徒」キャメロン英首相の挑戦状に、EUはどう答えるのか」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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