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中国は社会主義の看板を正式に下ろすか

習近平・李克強の新体制の課題「新型都市化」

2013年3月6日(水)

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 中国では3月5日から年に1回の国会風政治イベント「全人代」(全国人民代表大会)が始まった。今年は胡錦濤・温家宝の旧体制から習近平・李克強の新体制への政権バトンタッチの全人代であり、関心の焦点は主に国務院人事などだろうが、個人的に興味をもってウォッチしているテーマの1つは「新型都市化(新型城鎮化)」である。

 3月はじめに上梓した拙著『中国絶望工場の若者たち』(PHP刊)では、中国の農村と都市のはざまに生きる「第二代農民工」と呼ばれる若い出稼ぎ農民たちの実態について紹介しているが、彼らが直面する問題は実は中国社会の安定と経済発展の持続の可否を左右するテーマであり、農村の都市化政策「新型都市化」は、まさに「農民工問題」と直結する、全人代でも議論を呼びそうなホットイシューなのだ。

農民工を作り出した戸籍管理制度と土地管理制度

 日本人に大きなショックを与えた反日デモの暴動を起こした群衆も、外資系企業で大規模ストライキを起こしている労働者も、ネット上の人肉検索や「炎上」を仕掛けるネット集団運動に参加しているネチズンも、主役は若い80后(1980年代生まれ)から90后(1990年代生まれ)の農村戸籍の出稼ぎ者たち、第二代農民工だ。

 農民と工人(労働者)をくっつけた農民工という言葉は、農村戸籍と都市戸籍の間に簡単に越えられない壁がある中国の二元構造社会が生んだ一種の都市の被差別階層だとも言われている。第二代農民工とは、親世代農民工の子供世代という意味。

 富二代(二代目金持ち)、官二代(二代目官僚)、農二代(二代目農民工)といった言葉が示すように、中国には努力や才能だけではいかんともしがたい親から受け継ぐ職業階層があり、農民の子供は農民、農民工の子供を農民工になるよりほかの選択肢がまずない。そういう社会構造を作っているのが、中国の戸籍管理制度や土地管理制度である。

 農村の都市化政策は、まともに取り組めばこの戸籍管理制度と土地管理制度の両方にかかわってくる政策になるはずだが、戸籍管理と土地管理は中国がかろうじて社会主義国家の形を保つための最後の砦のような部分である。中国が果たして、この領域にメスを入れることができるのか。これは興味深い。

 「新型都市化」について簡単に説明しておこう。一言で言えば農村人口を地方都市に移転してゆくプロセスである。中国では省の下に市、県、鎮、郷といった行政単位があり、その下に村がある。鎮や郷の都市化を進めることで農村戸籍者の都市民化を進めよう、という建前だ。

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「中国は社会主義の看板を正式に下ろすか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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