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急増する50歳以上の出稼ぎ農民を待ち受ける悲しい老後

年金加入率はわずか16.4%という現実

2013年3月15日(金)

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 2012年4月27日に中国政府「国家統計局」のサイトに「2011年中国農民工調査報告」が掲載された。中国語で“農民工”とは「居住地域の郷鎮企業や都市・町部に出て就労する出稼ぎ農民」を意味するが、居住地域に留まる者を“本地農民工(地元出稼ぎ農民)”と呼び、居住地域を離れる者を“外出農民工(外地出稼ぎ農民)”と呼んで区別している。「出稼ぎ農民」という本質的な意味で言えば、後者がそれに該当する。

2億5000万人の農民工、その15%が50歳以上

 同報告によれば、2011年における全国の農民工の総数は2億5278万人で前年比1055万人増であったが、その内訳は、本地農民工が9415万人で前年比527万人増、外出農民工が1億5863万人で前年比528万人増であった。2011年末の農村人口は6億5656万人であるから、農村戸籍者の5人に2人が農民工となり、4人に1人が外出農民工となっている計算になる。農村人口には14歳以下の児童および60歳以上の老齢者が含まれるから、農村人口に対する農民工の比率は実質的にはもっと高いものとなっている。

 さて、同報告で最も注目されたのは年齢構成で、50歳以上の農民工が14.3%を占め、同調査が始まった2009年以来初めて、その人口が3600万人を突破したことだった。50歳以上の農民工の構成比は、2009年には4.2%であったが、急速に上昇して2011年には14.3%に達し、わずか3年で3倍となったのである。しかしながら、中国政府「人力資源・社会保障部」が2012年6月5日付で発表した『2011年度人力・社会保障事業発展統計公報』によれば、「2011年末時点で“城鎮職工基本養老保険(都市労働者基本年金)”(以下「都労年金」)の加入者数は2億8391万人、このうち農民工の加入者数は4140万人で、前年比856万人増」とある。

 これは総数で2億5278万人いる農民工のうちの4140万人(16.4%)しか都労年金に加入していないことを意味する。その理由は、

(1)農民工が仕事を求めて職場を移動する流動性が高い
(2)都労年金の保険料が高い
(3)都労年金を加入した地区から他の地区へ移動させることが困難
(4)年金の受給条件が累計15年間の加入と長い
(5)地方政府は補助金支出の増加を好まない
(6)企業が農民工のために企業が負担する保険料の支払いを望まない

--などである。このため、多くの農民工が加入した都労年金を解約して積み立てた保険料の払い戻しを受けることが一般化しているのである。

 このように低い加入率から考えても、50歳以上の農民工で都労年金に加入している人が極めて少ないことは疑う余地がない事実である。そればかりか、50歳以上の農民工は、医療保険にも、労災保険にも、失業保険にも加入していないために、社会保障の恩恵を何一つ受けられない状況にある。今後も50歳以上の農民工は増大を続けるだろうが、50歳を超えれば肉体的な衰えが始まり、農民工からの引退を余儀なくされる日は近い。引退後の彼らは故郷で老後の生活を送ることになるが、果たして年金なしで彼らの生活は成り立つのだろうか。

コメント1件コメント/レビュー

北村さんのレポートはその時々のテーマに即して詳しいデータを一緒に紹介しとても説得力がある。ただ今回、最後の部分で軍事費に使う金を社会福祉に使えという主張は如何かと考える。これはメディアで決まり文句のように使われるのだが説得力はないのではないか。軍事費は削減すべしは中国だけでなくどこの国にでも言えることで、アメリカなど巨額な軍事を削減すれば現在の財政難などなんということはないのだ。なぜそれが出来ないのか、要は軍需産業の力が強いからだ。日本も同じ。東芝、三菱、日立、三菱重工など自衛隊納品企業の力を侮ってはいけない。周辺諸国との緊張感を煽り、軍備を増強、武器輸出を行なって巨大企業の支えを当てにしている政府をもっているわが国の国民は残念ながら偉そうなことは言えないのだ。後から追いかけてくる国々は軍事強国の脅しに負けまいと、貧しいながらも懸命なのだ。その構図を理解することがまず何より必要だ。だからまず軍事強国こそが軍縮を進めることが先決だ。日本が今後、毎年軍事費を10%ずつ削減すると宣言してこそ中国にもモノを申すことができるのではないか。(2013/03/15)

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「急増する50歳以上の出稼ぎ農民を待ち受ける悲しい老後」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

北村さんのレポートはその時々のテーマに即して詳しいデータを一緒に紹介しとても説得力がある。ただ今回、最後の部分で軍事費に使う金を社会福祉に使えという主張は如何かと考える。これはメディアで決まり文句のように使われるのだが説得力はないのではないか。軍事費は削減すべしは中国だけでなくどこの国にでも言えることで、アメリカなど巨額な軍事を削減すれば現在の財政難などなんということはないのだ。なぜそれが出来ないのか、要は軍需産業の力が強いからだ。日本も同じ。東芝、三菱、日立、三菱重工など自衛隊納品企業の力を侮ってはいけない。周辺諸国との緊張感を煽り、軍備を増強、武器輸出を行なって巨大企業の支えを当てにしている政府をもっているわが国の国民は残念ながら偉そうなことは言えないのだ。後から追いかけてくる国々は軍事強国の脅しに負けまいと、貧しいながらも懸命なのだ。その構図を理解することがまず何より必要だ。だからまず軍事強国こそが軍縮を進めることが先決だ。日本が今後、毎年軍事費を10%ずつ削減すると宣言してこそ中国にもモノを申すことができるのではないか。(2013/03/15)

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