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なぜ中国人技能実習生は殺傷事件を起こしたのか

第二代農民工の抱える孤独と絶望

2013年3月22日(金)

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 3月14日、広島県江田島の水産加工工場で、中国人技能実習生・陳双喜容疑者(30)が社長を含む8人を殺傷した事件はショックだった。伝えられた目撃者の話によれば、倒れている人を執拗にスコップで殴るなど、現場は凄惨極まりない様子だったようだ。犠牲となったお二方の冥福と負傷した方々の一刻も早い回復をお祈りする。

 しかし、このような事件は防ぎようがなかったのだろうか。陳容疑者は、いわゆる異常な人格であり、特別な事件だったのだろうか。あるいは、そもそも中国人は凶暴で切れやすいのだろうか。日本の技能実習制度は、途上国の若者を奴隷のようにこき使うひどい制度で、技能実習生たちは雇い主に殺意を覚えるほど虐げられてきたのだろうか。

 いずれも関係があるかもしれないが、決定的理由ではない気がする。1つ言えることは、1980年代生まれ(80后)、1990年代生まれ(90后)の出稼ぎの若者については、中国でも犯罪に走りやすい傾向があるものとして報道されている。

若い出稼ぎ者の犯罪防止は中国でも懸案事項

 「80后、90后の出稼ぎ者の犯罪」というと、「いまどきの若者は犯罪に走りやすい」「貧しいと犯罪に走りやすい」というステレオタイプの決めつけ論はけしからん、とお叱りを受けるかもしれないが、中国では「出稼ぎの若者の犯罪をいかに防ぐか」というのは社会の重要テーマである。

 中国の犯罪統計的にいえば、たとえば上海の未成年犯罪の85%が第二代農民工、あるいは新生代農民工と呼ばれる、農村戸籍の出稼ぎ者の子供世代、若い出稼ぎ者による。このほど閉幕した全人代(全国人民代表大会=国会のようなもの)でも、出稼ぎの若者の犯罪増加が社会問題としてテーマアップされた。広州日報によると、2010年の全国の刑事事件の3分の1は第二代農民工世代が占める。2009年当時の広州大学の調査では、広州の三大監獄の農民工服役囚のうち9割が26歳以下という。

 なぜ80后、90后の出稼ぎ者が犯罪に走りやすいのか、ということについては、2009年11月に広州大学が主催したシンポジウムで次のような指摘がされている。

 「若い農民工の犯罪の一番の特徴は暴力化傾向である。…消費欲求、財産占有欲が強烈で、強盗や傷害などの犯罪を通じて、その目的を達成しようとする傾向が強い」
 「性犯罪もすでに若い農民工犯罪の1つの類型である。家庭道徳教育の欠如により、性道徳の形成が性機能の発育より遅れ、低級な趣味や刺激を求めてレイプ犯罪に走りやすい」
 「罪を犯した若い農民工の8割が、いわゆる『留守児童』経験者である。両親が都会に出稼ぎに行っている間、故郷の農村で放置された子供であり、十分な家庭の愛情と道徳教育を与えられていない」

コメント4件コメント/レビュー

今回の事件で不思議なのは、酷い事件でありながら、社長が強く叱責したからだとか、原因に焦点を当てた記事が表に出てきていることだった。かき打ち産業に必要な技能実習生が今後確保できなくなることに懸念があってそんな記事になるのだろう。福島さんはこの事件で「中国人は怖い」といったイメージが独り歩きすることを心配しておられるが、これは既に現実に広く蔓延しているのではないか。街の本屋の店頭には中国を滅茶苦茶に書いた本がたくさん並べられている。中国政府の政策と一般の中国人を一緒にしている愚はいつものとおりだ。福島さんが書かれている雑誌も、排外主義を煽った見出しが満載だ。私の中国の友人はタクシーの乗車拒否をされたという。政治家がパフォーマンを止めることも必要だが、国民ももっと真面目にまともな本を読むべきだ。(2013/03/22)

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「なぜ中国人技能実習生は殺傷事件を起こしたのか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

今回の事件で不思議なのは、酷い事件でありながら、社長が強く叱責したからだとか、原因に焦点を当てた記事が表に出てきていることだった。かき打ち産業に必要な技能実習生が今後確保できなくなることに懸念があってそんな記事になるのだろう。福島さんはこの事件で「中国人は怖い」といったイメージが独り歩きすることを心配しておられるが、これは既に現実に広く蔓延しているのではないか。街の本屋の店頭には中国を滅茶苦茶に書いた本がたくさん並べられている。中国政府の政策と一般の中国人を一緒にしている愚はいつものとおりだ。福島さんが書かれている雑誌も、排外主義を煽った見出しが満載だ。私の中国の友人はタクシーの乗車拒否をされたという。政治家がパフォーマンを止めることも必要だが、国民ももっと真面目にまともな本を読むべきだ。(2013/03/22)

日本だって身分差別が残ってます。東京よりも西の方が官僚的です。福知山線で有名になった日勤教育が代表的です。(本人が思っているだけの)エリートが現場要員を見下した結果の事件だったことを忘れてませんか。民衆レベルで差別が無くても実態として差別が残っている。今回の事件は中国実習生の酷使が問題でなく成長の歪の世代を来日させた結果おきうる事案です。そもそも情報氾濫のご時勢に日本人労働者が集まらないから海外に頼るとの発想そのものが誤りです。(2013/03/22)

知ることによって得られる利益に対してコストが高すぎるのなら、「無視する」というのが最も妥当な対応なのでは。(2013/03/22)

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