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世界から見えない中国農村の貧困の現実

政府からも国際社会からも見捨てられた人たち

2013年4月17日(水)

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 先日、編集者との打ち合わせの時に、「中国の農村というのは、いまだそんなに貧しいのですか」と、たずねられた。そうか、日本人が旅行やビジネスで訪れることができる中国には、もうさほどの貧困は見られないんだな、と気付いた。そこで、「年収2300元(約3万6500円)、1日の生活費6.3元(約100円)を貧困ラインと呼んでいますが、その貧困ライン以下の人口は1.28億人以上、と公式に発表しています。これはかなり保守的な数字です」と答えてみた。

 だが、それで中国農村の貧困が実感として分かるだろうか。餓死者が出ますか、と問われれば、今の中国で飢餓だけで死ぬことはまずない。医者にかかれない、学校にいけない、いろいろ表現を考えてみたが、それではあの絶望的な貧しさは伝わらないだろう。そもそも貧しさって何なのか。その定義もあいまいだ。人によっては日本こそ世界一貧しい国だという感じ方もある。

 そう思っているときに、中国のドキュメンタリー映画「三姉妹―雲南の子」(王兵監督、2012年)の試写を見て、これを見れば、中国の農村の貧しさの質が理解できるだろう、と思った。

男の子を産めない母親は行方不明に

 王兵監督は、中国ものドキュメンタリーでこれまでも国際的に高い評価を得ており、この「三姉妹」もベネチア国際映画祭オリゾンティ部門のグランプリなど、いくつかの大きな国際賞を受賞している。

 監督は偶然にも私と同じ歳。一度、インタビューしたことがあるが、映画少年がそのまま大人になったかのような人だ。海外受けする中国人監督によく見られる意図的に反体制的なテーマばかりを追うタイプではない。本人は、政治的なものには関心がない、と言う。

 前作の「無言歌」は彼にとって初の物語映画で、反右派闘争の政治犯が送り込まれた強制労働収容所の甘粛省、夾辺溝が舞台だが、テーマは政治的なものではなく「飢餓を描きたかった」そうだ。「三姉妹」にもさほど政治性はなく、テーマは一言でいえば、貧困農村の現実、だろう。

 「三姉妹」にはあらすじらしいものはない。舞台は雲南の最貧困地域、標高3200メートルにある、ごうごうと風の吹きすさぶ約80世帯の村、洗羊塘。その村の、いわゆる「留守児童」である英英10歳、珍珍6歳、粉粉4歳の三姉妹の生活を淡々と、手持ちビデオに収めただけのフィルムである。

 「留守児童」とは両親が都市・町に出稼ぎに行っている間、故郷の農村に残された子供たちで、公式の統計では5800万人(14歳以下)とされている。面倒を見てくれる祖父母や親せきが同じ村にいるとはいえ、子供たちが味わう不安と孤独は想像にかたくないだろう。保護者がいないことで、誘拐やレイプなどの犯罪の対象になったり、ぐれて犯罪に走ったり、十分に学校に通わせてもらえなかったり、親戚から虐待されたり、いじめにあったり、といろいろな問題が起きている。

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「世界から見えない中国農村の貧困の現実」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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