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北京も「乱」になってきた

充満した不満は小さな火種で燃え上がる

2013年5月15日(水)

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 私が北京にいた5月8日に久々の大規模デモが起きた。といってもそのデモのことを知ったのは翌日の5月9日になってからで、友人宅に掃除に来ていたアイさん(出稼ぎ家政婦)が、すごかったのよ!と、興奮気味に話しているのを聞いただけである。

 原因は3日未明に、22歳の安徽省籍の「打工妹」(出稼ぎ娘)、袁利亜さんが北京市豊台区木須園の京温商城ビルから落下して死亡した状態で発見された事件。地元警察はろくに調べもしないで自殺と断定し、遺族が現場の監視カメラを公開するように要求しても拒絶した。母親は6日から娘の自殺した場所に立て札をたてかけ、「娘の死の真相追及を求む」と道行く人に訴えた。この母親に同情した人たちが集まり8日午前10時ごろには、6000人規模の抗議デモに発展したのだった。

 地方都市で時々起こる暴動騒ぎよりはずいぶん大人しいものの、とにかく警察側の緊張感が尋常じゃなかった。豊台区に通じる高速道路には防暴隊(機動隊)車両で封鎖され、空には警察ヘリが旋回した。その様子は微博などを通じてネットで拡散されたが、「そのうち、戦車も出てくるぞ」とコメントするユーザーもいたくらいだった。

 微博などでは「東北出身のガードマンら5、6人にレイプされたあげく窓から突き落とされた」「しかも、そのガードマンを雇っている京温商場の社長が共産主義青年団中央と懇意の温州商人であり、強い政治的背景がある」といった書き込みが流れた。これらの書き込みもデモの様子も即行で削除され、メディアも報じず報道統制が敷かれていた。

 中国のメディアが公式に報じたのは、11日に北京警察当局が、監視カメラの映像をCCTVを通じて公開してからだ。監視カメラには自殺直前の袁さんが一人で行動している様子が映っており、少なくともガードマンに投げ落とされたという話はデマだろうと判断された。デマを流した微博ユーザーは逮捕されている。

 遺族には京温商場から、管理不行き届きだったとして40万元(約660万円)の賠償金が支払われ、和解が成立した。

 しかし、この事件から見えてくるいくつかの情景が、今の中国の置かれている状況を非常によく表していると思うので、もう少し解説したい。

「警察は嘘をついている!」

 一時は袁利亜の名前も、「京」や「温」の字ですら敏感ワードとなって検索ができなくなったほど厳しい報道統制が敷かれていたが、11日以降は病気の父の治療費と現在小学生の弟の進学費用のために懸命に働いていた袁さんがいかに家族思いの頑張り屋であったかが、詳細に紹介された。

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「北京も「乱」になってきた」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト