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米国版「マイナンバー」は怖くない

テクノパニックを引き起こすなかれ

2013年5月29日(水)

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 日本では5月24日に「マイナンバー制度」の関連法が成立し、2016年1月から運用が開始されることになった。以前は「国民背番号制」などと呼ばれて何かというと反発を食らっていたが、東日本大震災の時に住民データが破壊されて困った事例などもあり、その必要性が多くの人に認識されてきているようで、着々と準備が進んでいるようだ。

 米国ではそれに相当する「社会保険番号(Social Security Number=SSN)」が、デファクトの個人IDとして広く使われている。私にとっては、日常生活にすっかりなじんだものだが、改めて調べてみると、なかなか面白い逸話がある。

 一方で、日本の関連報道を見ていると「米国でも番号流出による被害がナンタラで、制度見直しが叫ばれている」といったような、誤解を招くようなものも散見される。そこで、長年この番号とつき合っている者の視点から、米国版マイナンバーがある日常はどんなものか、それを踏まえて日本のマイナンバーを巡る状況がどう見えるのか、まとめてみたい。私にはどうも、「番号流出問題」が最大のポイントではないように思えるのだ。

SSNとは「戸籍」みたいなもの

 外国から米国に引っ越してくると、早くSSNを取らなければいろいろと面倒だ。運転免許を取るにも、銀行口座を開設するにも、携帯電話を契約するにも、アパートの契約も、クレジットカードの申し込みも、ローンを組みたい場合も、あらゆる場面でSSNを要求される。

 SSNがなければ絶対ダメというわけではない。SSNが取れない旨を申告して銀行口座や運転免許を申し込むことは可能だし、SSNを必要としないアパートもある。2000年代に入ってSSNの申請資格が厳しくなり、ビザの種類によってはSSNを取れない場合もあるからだ。

 しかしいろいろな制約ができてしまうので、たいていの人は米国に来たら、必死でSSNを入手する。一方、子供が米国で生まれると、すぐに出生証明の届け出と一緒にSSNの申請をする。

 いったん取得してしまえば、あとはそのカードは、家の引き出しの奥深くにしまったままで、取り出すことはほとんどない。SSNカードはペラペラの小さな紙で、一応セキュリティー対策は施してあるが、あまりありがたい品物のようには見えない。

 クレジットカードとは異なり、カード自体の提示を求められることはほぼ皆無(私はこれまで一度もない)。番号を書類に記入するか、口頭で伝えるかどちらかで済む。あまりによく使うので、自分の番号は覚えてしまうのが普通だ。セキュリティーの関係で「最後の4ケタだけ」を要求されることも多い。番号を利用しようとする団体は、この番号をキーとして社会保険庁に照合するシステムを使って、本人が記入した内容に間違いがないかどうかを確認する。

 クレジットカードのように番号自体が取り引きのトリガーになるのではなく、運転免許証のようにSSNカード自体が「身分証明」の役割を果たすのでもない。その一層下にある「本人確認」に使われるだけだ。

 すなわち米国のSSNは、生活の中では日本の「戸籍」に該当する役割を果たしている。こう考えると、分かりやすい。

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「米国版「マイナンバー」は怖くない」の著者

海部 美知

海部 美知(かいふ・みち)

エノテック・コンサルティングCEO

ホンダ、NTT、米ベンチャー企業を経て、1998年にエノテック・コンサルティングを設立。米国と日本の通信・IT(情報技術)・新技術に関する調査・戦略提案・提携斡旋などを手がける。シリコンバレー在住。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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