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広東省の人々を不安に陥れたカドミウム汚染米

主食にまで波及する「毒食品」氾濫の恐怖

2013年5月31日(金)

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 広東省でカドミウム汚染米の市場流入が健康をむしばむ重大問題としてクローズアップされ、大きな社会問題として人々を不安に陥れている。

 中国で「米」は“大米”と呼ばれ、“小米”と呼ばれる「アワ」と区別されるが、カドミウム汚染米は“毒米”と呼ばれて、人々に恐れられている。たとえカドミウム汚染米を食べても、含有されるカドミウムの95%は糞便により排出され、人体に吸収されるのは5%に過ぎないことを論拠に、「慌てる必要はない」と専門家は説明する。だが、人が一生に摂取するカドミウムの累積量が2gを超えると腎臓の尿細管の損傷が始まり、最終的には“骨痛病(イタイイタイ病)”を引き起こす可能性がある。

 筆者は2011年2月25日付の本リポート「闇に葬られ続ける『イタイイタイ病』」で、中国の年産2000万トンに上るカドミウム汚染米の実態を報告したが、それは米の年産量の1割に達していた。メラミン入り粉ミルク、“地溝油(下水から作った再生食用油)”、病死豚肉、可塑剤入り酒類・しょうゆなど、「毒食品」と呼ばれるものは枚挙にいとまがない中国<注1>だが、鳥インフルエンザによる鶏肉回避の動きに加えて、それが主食の米にまで及ぶと、安心して食べられるものがないことになりかねない。しかも、“毒米”の流入は広東省の市場だけにとどまらないのである。

<注1>2012年5月に開始された有毒食品警告サイト“擲出窗外(窓の外へ蹴り出す)”は、2004年以来今日までに中国各地で出現した明確な根拠がある有毒食品は2000種類に及ぶとしている。

市民の不満爆発で業者名公表

 5月16日、広州市の“食品薬品監督管理局”(以下「食薬監管局」)は2013年第1四半期の「飲食業界における食品および関連製品の抜き取り検査結果」を公表した。それによれば、食品および関連製品に対して367件のサンプルを取って品質検査を行った結果、341件が合格で、合格率は92.92%であった。しかし、そのうちで一部の飲食業者に対象を絞って実施された米および米加工品に対する“鎘(カドミウム)”含有量の検査では、サンプル18件中の8件がカドミウム含有量の国家基準値の上限0.2mg/kg<注2>を上回り、その合格率は55.4%にとどまった。

<注2>日本の米(玄米および精米)に対するカドミウム含有基準値は0.4mg/kg以下。日本では従来、国が0.4mg/kgから1.0mg/kg未満の米を買い上げて市場流通しないよう管理していたので、基準値は1.0mg/kgとなっていたが、2011年2月に0.4mg/kgに改定された。

 食薬監管局はこれら不合格となった業者名の公表を拒否したが、その理由は「抜き取り検査の範囲が狭いだけでなく、サンプル数も少なく、今回の結果が広州市全体の状況を示しているものではない」というものだった。これに対して、広州市民は強い不満を示したため、市民の反発を恐れた食薬監管局は、5月17日に4業者の名前とその対応措置を発表したが、市民の不満は収まらなかった。

 こうした状況下で地元メディアも徹底追及の構えを見せたため、18日夜になって食薬監管局は遂に不合格となった飲食業者8業者の名前を公表するに至った。公表された業者には、“太洋海鮮酒家(海鮮料理店)”、“広東外語外貿大学南国商学院”内にある3つの民営食堂のうちの1つ(通称「第三食堂」)、海珠区にある“燕南飛美食店”、“仲愷農業工程学院第一食堂”などが含まれていたが、基準超過の対象品目は前の2者が「米」、後ろの2者が米加工品の「ビーフン(米粉)」であった。

コメント4件コメント/レビュー

現在広東省に在住しているため、非常にホットな話題でした。家族もこちらにいるのですが、食品についてはできる限り安全なものを入手するように、努力を行わなければいけないことを改めて認識させて頂きました。(日本は物価が高いですが、ここ10~20年は安全性については心配する必要が特にないことが良いことだと思います。)(2013/05/31)

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「広東省の人々を不安に陥れたカドミウム汚染米」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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現在広東省に在住しているため、非常にホットな話題でした。家族もこちらにいるのですが、食品についてはできる限り安全なものを入手するように、努力を行わなければいけないことを改めて認識させて頂きました。(日本は物価が高いですが、ここ10~20年は安全性については心配する必要が特にないことが良いことだと思います。)(2013/05/31)

不合格としたコメは、日本基準に照りあわすと、半数以上が合格となるのでしょう。(0.4mg以下)そして、ちょっと前の基準(アメリカ基準?1.0mg以下)と比べるとほとんとが合格だ。何々だ、日本の基準?もしかして、今の記事は大袈裟?!(2013/05/31)

中国の不可思議な事は、これだけ問題が大きくなっているのに原因である鉱山や工場の排水の事が一切書かれていない事だ。汚染米を扱っている業者を吊るし上げて終りにしたいのか、重金属を含む排水を出している企業は経済成長の為に生産調整等を強いる事が出来ないと言う事なのだろう。国の成長の為には多少の害は仕方がない、という考え方は中国政府に以前から存在する。私は過去2回通算3年弱広東省で仕事をしたので、中国の知人、友人と言えば皆広東省に暮らしている。彼等は中国では中流程度の収入で近年の経済発展の恩恵を受けている物の、せいぜい香港に行って安全なミルクを買いだめしたりするくらいで、今回の米騒動ではどの様に対応しているのだろうか。湖南、湖北は中国でも最大の米生産地で、そこの米がカドミウムで汚染されている時の対応は難しい。汚染が特定の地域に限定されるとすると、その地域で生産された米には別の地名が印刷される可能性が極めて高い。食品の表示が当てにならないのだ。日本にも愛好者のいる上海蟹は上海近くの湖で取れたもの限定で「上海蟹」として売る事が許可されているが、市場で出回る半数以上は「ニセモノ」と友人から聞いた。印のついたテープで区別するのだが、玄人でないと区別は出来ないそうだ。高く売る為なら商品説明を偽る事等罪と言う認識が無く、当然の権利くらいに考えている人が多いのだ。こう言う国柄だから、消費者は不良品を見分ける術を日本の消費者よりはかなり身につけている。衣類でも縫い目が確りしているか、破れんばかりに強く引っ張ったりして確認している姿は良く見かける。万一割けたりしたら、「やっぱりね!」と言って他の物を漁る。一旦金を払ってしまったらオシマイだから、その前に確り確認するやり方が身に付いているのだ。中国でも、極少数の上流階級の人達は、品質が確かな店に行き、値引き交渉等もしないらしい。日本産の米も皆彼等の口に入る。カドミウム米は素人がどうやっても見極める事が出来ない、厄介な問題だ。友人達がイタイイタイ病に冒される事が無い様に祈るしか無い。(2013/05/31)

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