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中国では土壌汚染の調査結果は「国家機密」

重金属の血中濃度が異常値を示した米国への移民

2013年6月21日(金)

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 6月13日、中国国営通信社「新華社」の国際部が運営する、微博(マイクロブログ)”で国際ニュースを報じる「新国際」は、2012年3月発行の米国誌「移民と難民研究(Journal of Immigrant Refugee Studies)」(第10巻、2012年第1号)の131~137ページに掲載された研究論文「ニューヨーク市の健康診査と栄養調査の結果報告に基づく中国からニューヨーク市へ来た移民の健康」を引用して次のように報じた。

他のアジア地区からの移民に比べ44%高い鉛濃度

 中国からニューヨーク市に来た移民の血液中に含まれる鉛、カドミウム、水銀の量はその他アジア地区からの移民に比べて高い。例えば鉛は44%高い。研究論文は、この状況は憂慮すべきものだが、いくつかの措置を講ずることにより、その先行きは恐ろしいものではないとしている。

 折しも、中国では5月に広東省でカドミウム汚染米が市場に流入していることが判明し、大きな問題として中国全土に波紋を投げかけた直後であり<注1>、多くの中国メディアがこの短い記事に注目した。そこで、彼らが当該研究論文の原文に遡って内容を確認した結果、以下のような詳細が判明したのだった。

<注1>2013年5月31日付の本リポート「広東省の人々を不安に陥れたカドミウム汚染米」参照。

【1】当該研究論文は、ニューヨーク市にあるコロンビア大学の公共衛生学院の研究者が、2004年の『ニューヨーク市の健康診査と栄養調査報告』(以下「調査報告」)のデータを分析・研究した内容をまとめたものである。

【2】調査報告はニューヨーク市へ来た移民の中から年齢が20歳以上の1999人を抽出して調査したものであった(以下「全移民」)。その中には、中国から来た移民(以下「中国移民」)が87人、その他のアジア地区から来た移民(以下「アジア移民」)が173人含まれていた。なお、中国移民には香港、台湾、マカオ生まれの人は含まれていないし、中国移民の大多数は福建省出身者によって占められていた。

【3】研究者が注目したのは、中国から来た移民の血液に含まれる重金属(鉛、カドミウム、水銀)の濃度が高いことであった。具体的に言うと: (1)鉛の血中濃度:中国移民は全移民より81%高く、アジア移民より44%高い。 (2)カドミウムの血中濃度:中国移民は全移民より69%高く、アジア移民より60%高い。 (3)水銀の血中濃度:中国移民は全移民の正常値より10%高い。

【4】研究者は、中国移民の場合、重金属の血中濃度が高い理由を次のように考えている。 (1)水銀の血中濃度が高いのは、彼らの食生活が野菜や海産物に重点を置いていることに関連している。このため、彼らは心臓疾患のリスクは低いが、水銀の血中濃度は高い。 (2)鉛やカドミウムは、体内に蓄積されるには非常に長い時間を要するので、彼らが米国へ来る前の中国国内における生活と関係があると考えられる。なお、鉛は中国の伝統的な薬に含まれているので、その影響も否定できない。

コメント2件コメント/レビュー

「土壌サンプル調査」には驚きです。サンプリング地点の決め方など詳細はよく判らないのですが、こんな方法が科学的な妥当性・普遍性を持つとは到底思われません。重金属元素含有量の引き算もすごい。 地下1mの土壌が「未だ人類によって汚染されていない自然界の地球化学を代表」なんてねえ…。 この土壌が表層と同程度に汚染されていたとすれば、引き算の結果、重金属元素含有量はゼロ、あるいはマイナスとなって「汚染の進行はナシ」とか、「見事に浄化がおこなわれた」などのたわけた結果が出るものと確信いたします。 桁外れの数の電池製造業者とその従業員が金のためとはいえ、同じ国民や国土を平気で傷つける様はたまりません。いずれ大変なことになると思います。(2013/06/21)

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「中国では土壌汚染の調査結果は「国家機密」」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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「土壌サンプル調査」には驚きです。サンプリング地点の決め方など詳細はよく判らないのですが、こんな方法が科学的な妥当性・普遍性を持つとは到底思われません。重金属元素含有量の引き算もすごい。 地下1mの土壌が「未だ人類によって汚染されていない自然界の地球化学を代表」なんてねえ…。 この土壌が表層と同程度に汚染されていたとすれば、引き算の結果、重金属元素含有量はゼロ、あるいはマイナスとなって「汚染の進行はナシ」とか、「見事に浄化がおこなわれた」などのたわけた結果が出るものと確信いたします。 桁外れの数の電池製造業者とその従業員が金のためとはいえ、同じ国民や国土を平気で傷つける様はたまりません。いずれ大変なことになると思います。(2013/06/21)

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