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中国の「7月危機」は本当にやってくるのか

習政権のギャンブルはもう始まっている?

2013年6月26日(水)

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 中国で6月に入ってからのホットワードの1つは「銭荒」だろう。

 「金が足りない」という意味だが、日本語で報道されるときには流動性逼迫とか、流動性リスクと翻訳されている。ようするに中国の金融市場で深刻な資金不足に陥っており、債務不履行で倒れる銀行がばたばたと出そうだ、と懸念されている。

 政権交代前のかなり前から、「2013年7月危機説」というのは囁かれていた。それが現実味を帯びてきたのが6月に入ってからの中国の銀行間取引金利の急上昇だ。先週20日に中国の銀行間取引金利の指標であるSHIBOR(上海銀行間出し手金利)が翌日物13.44%にまで上がると、日本のメディアも「銀行デフォルト連鎖(か?)」といったセンセーショナルな記事が出始めた。

 しかも23日午前中に、工商銀行のATMシステムがダウンする「故障」があり、これは預金者が預金封鎖を警戒して預金引き下ろしに殺到したためではないか、といった噂も流れた。もちろん銀行側は否定している。

 とりあえず人民銀行(中央銀行)は少なくとも1銀行に500億元の資金を供給したということで、SHIBORの翌日物金利も21日に8.49%まで落ちた。だが、まだ2008年9月15日のリーマンショック時の米金融市場の銀行間金利と比べても高い数値であり、緊張感が続いている。 今週初めには上海の株価も2009年以来の下落率で急落した。

 中国の商業銀行の間では、人民銀行が助けてくれない、という怨嗟の声が渦巻くが、人民銀行は野放図な融資を行ってきた銀行側が悪い、といった冷ややかな態度で、この銭荒自体が「不良銀行や影子銀行と呼ばれる野放図な民間金融機関への鉄血のお仕置き」と言われている。

 この銭荒は今後、どう展開していくのか。本当に7月危機はやってくるのか。中国側の論評を中心に占ってみよう。

習政権にとって経済危機は早い方が良い

 2013年7月危機説というのは2年前の9月に、国務院発展研究センターの李佐軍研究員による内部報告で提示されたもので、12次五カ年計画中に大きな経済危機が訪れ、その時期はおそらく2013年7月か8月である、という。

 その根拠は4つ挙げられている。

(1)不動産バブル崩壊と地方債務危機が同時にやってくる。リーマンショックのとき、中国政府は4兆元の財政出動で危機からいち早く脱出できたというが、この4兆元のうち7割は地方財政から拠出されている。

 地方財政は主に商工業税収と「売地」と呼ばれる土地開発収入からなっている。つまり農地を強制収用し、開発業者に売って開発し不動産売買やテナント収入を得る。この開発業者は地方政府が運営する第3セクター的なものであり、開発資金は地方政府や地方銀行が運営する信託会社などを経由することで、親銀行の簿外で流すことができる。こういった金融機関は「影子銀行(シャドーバンキング)」と呼ばれ、銀行監督管理委員会の監督外になるため、大手銀行から低金利で調達した資金を、高い金利で貸し出したり、また債権を高利回りの理財商品として個人投資家に売ったりする。

コメント4件コメント/レビュー

需要を無視して増産を続ける鉄鋼業、住民のいないニュータウンなどの実態を見れば、市場のブレーキが効かずにカネをつぎ込んだ分、一層大きな揺り戻しが来るのは当然だろう。一党独裁の政治主導で鎮静を計ろうとしても、むしろ政府高官の権益保護が優先され、経済から政治へと問題が広がるのではないか。(2013/06/26)

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「中国の「7月危機」は本当にやってくるのか」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

需要を無視して増産を続ける鉄鋼業、住民のいないニュータウンなどの実態を見れば、市場のブレーキが効かずにカネをつぎ込んだ分、一層大きな揺り戻しが来るのは当然だろう。一党独裁の政治主導で鎮静を計ろうとしても、むしろ政府高官の権益保護が優先され、経済から政治へと問題が広がるのではないか。(2013/06/26)

素晴らしい記事でした。日本のマスコミは、なぜこれをもっと大々的に公表しないのか。未だに中国の表面のみに騙されて、投資をしようと試みる経営者が後をたたない。いずれ金策で自殺するかもしれないのに・・。このマスコミの報道における隠ぺい体質には非常に激しい怒りを覚える。どんどんこういった記事を発表して頂きたい。手遅れになる前に。(2013/06/26)

最後のコメント以外は参考になるが、福島さんご自身の次のコメントは理解できない。「13億の人民とともに、グローバル金融経済でつながる日本を含む各国の人々も、このギャンブルに付き合わざるを得ないというなら、とりあえず衝撃に身構える心の準備はしておくべきだろう」一体、日本を含む各国の人々はどんな心の準備をしておけというのだろうか? 私たちがいま真に心配すべきは中国との緊張関係をひたすら煽り、脱中入亜、対米従属を深めて日本経済を誤った方法に導こうとしている安倍政権ではないのか。(2013/06/26)

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