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便器に産み落とされた新生児が排水管から奇跡の生還

若者の乏しい罪悪感に、中国政府が捨て子の管理を強化

2013年6月28日(金)

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 浙江省の中部に位置する“浦江県”は、“金華火腿(ハム)”で名高い“金華市”に属し、世界最大の“小商品(日用雑貨)”市場で知られる“義烏市”に隣接する人口約44万人の地方都市である。5月25日、その浦江県の名前が世界に知られる事件が起こった。この事件は5月27日に中国国内でトピックスとして報じられたばかりか、米国CNNや英国BBCなどのニュース番組でも詳細が報じられたし、米国のAP通信、英国紙「デイリー・ミラー」や「デイリー・メール」などでも事件の全貌が報じられた。また、You Tubeには上述のCNNとBBCのニュースが投稿されたことで、事件は世界中で大きな話題となった。

 その事件は、浦江県の“浦南街道江南新村二区”にある個人所有の集合住宅で発生したものだった。5月24日午後4時39分に、集合住宅の家主が「4階の共同トイレの便器から赤ん坊の泣き声が聞こえる」と電話で通報したことに端を発した。この通報を受けて現場の集合住宅へ急行した浦江県消防局の消防隊員は4階の共同トイレに駆け上り、問題の便器(和式の水洗便器)の内側前方に空いている穴に耳を傾けた。すると、弱々しいものではあるが、確かに赤ん坊の泣き声が聞こえる。消防隊員は即座に、赤ん坊が便器の穴と糞尿を集めて排出する本管との間をつなぐ直径10cmほどのプラスチックパイプの中に引っ掛かっていると判断した。当該パイプは4階の便器の穴から30cmほど下で横に開いた穴から斜めに下り、3階の共同トイレの天井を抜けるところで真っすぐ下へ伸びていた。

排水管から赤ん坊を救助

 消防隊員はすぐさま3階へ駆け下りて共同トイレへ向かうと、その天井に4階から垂直に下りたプラスチックパイプがあることを確認した。それは天井から30cmほど下がった所で横に折れ曲がるL字構造で、そこから1mほど先にある本管へつながっていた。赤ん坊はL字の屈曲部分にいるものと思われた。壁に立て掛けた梯子に上った消防隊員の1人がノコギリで垂直に下がるパイプを天井に沿って切断すると、もう1人が横に走るパイプを本管との連結部の手前30cm位のところで切断した。こうして切り離された高さ30cm、長さ70cmほどのL字型パイプが2人によって慎重に下ろされた。そして、これを受け取った消防隊員が、右手でパイプを抱えながら、左腕をパイプの中へ徐々に差し込んだ結果、赤ん坊は頭を下にしてパイプに引っ掛かっていることが確認された。息を凝らして成り行きを見守っていた人々は安堵のため息を漏らしたが、その場では赤ん坊をパイプから引き出すことは出来なかった。

 赤ん坊は消防隊員によってパイプごと“浦江県人民医院”の緊急診察室へ送られ、医師と消防隊員によるノコギリとペンチを使った共同作業が行われることとなった。パイプを細心の注意を払って切り開く作業が続けられた結果、救援要請から1時間40分が経過しようとする午後6時20分頃、胎盤がついたままの男の赤ん坊(体重2300グラム)がパイプの中から奇跡的に生還したのだった。赤ん坊は入念に洗浄、消毒された上で59番の新生児保育器に収容された。このため、赤ん坊は便宜的に“59号小毛頭(59番の赤ちゃん)”と呼ばれることとなった。

 消防隊員の救助によって赤ん坊が死の淵から生還したことで、人々の関心は赤ん坊を産み落とした犯人は誰かということに移った。現場が集合住宅の共同トイレである以上、犯人は集合住宅の住人の誰かである可能性が極めて高い。地元の警察当局が調査を開始してすぐに判明したことは、家主に4階の共同トイレで赤ん坊の声が聞こえると通報したのが、4階に住む22歳の女性“小菲(菲さん)”<仮名>であり、菲さんは消防隊員による救助活動を現場でずっと見続けていたということだった。

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「便器に産み落とされた新生児が排水管から奇跡の生還」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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