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北京国際空港の爆発事件の引き金は中国社会の不条理だった

下半身不随の男を犯行に駆り立てた7年前の事件処理

2013年8月2日(金)

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 2013年7月20日の午後6時24分、北京国際空港の第3ターミナル2階にある国際線到着ロビーの出口Bから10メートルほどの場所で爆発が起こった。車いすに乗った30代の男が手製と見られる爆発物を起爆させたもので、大きな爆発音が響き渡ると、辺り一面は黄色の煙に包まれた。爆発で負傷したのはその男だけで、ほかにけが人いなかった。中国の繁栄を象徴するアジア最大規模の空港で発生した爆発事件は小規模なものであったが、世界中のメディアによって大きく報じられた。

「俺は言いたいことがある」

 この事件の現場に居合わせた目撃者たちの証言を総合すると、事件の経緯は以下の通りである。

【1】いつの間にか国際線の到着ロビーに現れた車いすの男は、出口Bから10メートルほどの乗客通行専用区域に陣取ると、出口Bから次々と出てくる国際線の乗客たちに自分の主張を書いた宣伝ビラを配ろうとして、空港の警備員に制止された。すると、男は乗客たちに向かって、「俺は言いたいことがある。俺は爆弾を持っている。俺から離れろ」と叫び始めたが、乗客は誰一人として男を相手にしなかった。実際は、外国人を含む国際線の乗客たちには、男が何を言っているのか理解できなかったのが実情だが、それが男には非情なものに思えただろう。

【2】誰も自分の言葉に耳を傾ける者がいないことにしびれを切らした男は、胸に抱えていた白いビニール袋から爆発装置らしき物を取り出した。これを見た周囲の人々は危険を察知して逃げようとしたし、警備員は駆け寄って言葉をかけようとした。爆発はその瞬間に起こった。その爆発音は束にした“鞭炮(爆竹)”を一度に鳴らしたかのように激しいものだった。周囲にいた人々は、爆発音が聞こえると同時に慌てふためいて逃げ散った。爆発現場には、爆発の衝撃で横倒しになった車いすが転がり、車いすから跳ね飛ばされた男が横たわり、男の左腕から流れ出た血が床を赤く染めていた。爆発の発生から3分ほど経った頃、現場に警官が駆け付けて、男を担架で運び去ったが、男には意識があり、彼は担架の上で絶えず頭を動かしていて、傷はさほど重そうには見えなかった。

 なお、負傷した車いすの男は、救急車で西城区にある“積水潭医院”へ搬送されて応急手当を受けたが、爆発の衝撃によって男の左腕は断裂しており、左腕の切断手術を余儀なくされる可能性があるということだった。

 翌21日、北京市公安局は初歩的調査結果として、爆発事件の犯人である車いすの男の身元を次のように公表した。

氏名:冀中星(きちゅうせい)
年齢:34歳(1979年12月1日生まれ)
住所:山東省菏澤市鄄城県富春郷大冀庄村
学歴:小学校卒業程度

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「北京国際空港の爆発事件の引き金は中国社会の不条理だった」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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