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脱北者を公務員に採用~その一部にスパイ容疑

依然として難しい北出身者の韓国定住

2013年7月31日(水)

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 韓国の公務員採用を担当する安全行政部(部は省)は、脱北者を対象に公務員採用試験を2013年7月末から実施すると発表した。これは国家公務員法が改訂されたことに伴う措置。脱北者の中から11人の経験者(経歴職と呼ぶ)を中途採用する。業務の内訳は一般行政5人、食品衛生1人、医療技術1人、機能職1人、機械関連1人だ。

 これまでも、統一部(脱北者が韓国に定着できるよう教育や生活支援を行う省庁)の推薦に従って、各省庁が脱北者を契約職公務員として採用することはあった。既に13人ほどの脱北者が契約職公務員として全国自治体で脱北者支援業務を担当している。だが、誰でも応募できる競争採用は今回が初めてである。2013年7月時点で韓国に住んでいる脱北者は2万5000人を超えている。

 応募資格は、1 )脱北して韓国に住民登録をしてから3年以上経過していること、2)該当分野の経歴や資格を持っていることである。経歴職なので、北朝鮮での経歴も認めることにした。脱北者の北朝鮮での経歴は統一部が確認する。統一部に経歴を認められれば筆記試験は免除、面接だけとなる。2008年から北朝鮮と韓国政府の交流が途絶えているため、北朝鮮での勤務経歴や資格取得を統一部が確認できるのか疑問は残る。

 地方自治体は一足先に脱北者を対象にした一般職公務員の競争採用を実施した。京畿道庁(キョンギ)では47倍の競争となった。京畿道庁が採用したのは、2002年に中国経由で脱北した33歳の男性。現在は道庁で、公務員や住民を対象にした「統一教育」(韓国と北朝鮮の統一に関する教育。北朝鮮の生活や実情を伝えて理解を深める)を担当している。

 脱北者を公務員として採用するのは、彼らを差別することなく韓国人と認め、経済的に自立した生活を送れるようにするためである。脱北者は命がけで韓国に逃げてきたものの、資本主義の金銭感覚がないので、韓国政府が支給した定着金をすぐ使い果たしたり、詐欺に遭ったりする。その結果、生活保護を受けることが多い。

 韓国に住む人と北朝鮮に住む人は同じ民族ではあるが、北朝鮮から来た人はなまりが強くてコミュニケーションがうまく取れないことがある。育った文化が全く違うため、脱北者を怖がる韓国人も多い。脱北者は韓国に定着できず米国に移住したり、中国から国境を渡って北朝鮮に戻ったりする人さえいる。脱北者が韓国で安定して暮らせるようにするためには、何よりも安定した収入が必要だ。脱北者が韓国で普通の韓国人として生きていけるようにするにはどうしたらいいのか、この問題は韓国政府の重要な課題である。

脱北者が韓国に定住するのは容易ではない

 脱北者で、東亜日報で記者をしているチュ・ソンハ氏は自身のブログで、北朝鮮の人々の生活や、韓国人が知らない脱北者の悩みなど、新聞には載らない情報を紹介している。チュ記者は脱北者でありながら、2004年に脱北者約200人をインタビューした。2009年には、同じ人たちに再びインタビューし、その結果をブログで紹介した。

 それよると、インタビューに応じた脱北者200人のうち30%は韓国に来て5年たった時点でもまだ無職だった。1年以上同じ会社に勤めている人も33人しかいなかった。仕事をしている人でも脱北者の世帯所得は月平均140万ウォン(約12.7万円)、韓国の勤労者世帯所得(平均月329万8900ウォン、約26.7万円)の半分にも満たなかった。海外に移住した人も20人いた。

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「脱北者を公務員に採用~その一部にスパイ容疑」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長