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中国は公害を克服できない

2013年8月21日(水)

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 少々マニアックな話なのだが、今回は環境公益訴訟のテーマを取り上げたい。

 8月18日、中国で目下審議中の「環境保護法修正案(第二次草案)」のパブリックコメント募集が締め切られた。実はこの環境保護法修正案について、司法の後退であるという厳しい批判が出ている。

 というのも、この修正案では、公害の責任を問う「環境公益訴訟」を提訴できるのは政府系NGO中華環境保護連合会およびその下部組織の省レベルの環境保護連合会だけに限るとなっているからだ。

 つまり民間のNGOが公益訴訟に参加できなくなる。深刻化する公害状況を被害者に代わって告発することのできるほぼ唯一の方法である公益訴訟は、今でも「司法ショー」にすぎないと公益訴訟に携わる弁護士自身が自嘲気味に語るが、ここからさらに民間組織が締め出されるとなると、司法による公害の克服の道はほぼ絶望的になるのではないか。中国の公害問題と公益訴訟について今回は紹介したい。

クロムに汚染された「死亡村」の公益訴訟

 今年6月、中国で唯一可能な「公害訴訟」といわれる「環境公益訴訟」についての勉強会が都内であった。雲南省曲靖市陸良県小百戸鎮興隆村のクロム公害訴訟の弁護人の一人である曾祥斌弁護士が中国から参加し、その現状と課題について報告してくれた。

 「陸良クロム公害訴訟」と呼ばれる、中国でも非常に注目を浴びているこの環境民事公益訴訟についてまず説明しておこう。

 公害の現場は興隆村の省都・昆明から車で2時間ほどのところにある。かつて米どころとして有名な豊かな村だったが、今は通称「死亡村」と呼ばれる。

 人口3500人あまり(2010年)だが、毎年7~8人ががんで死亡している。一番幼いがん死亡者はわずか9歳だ。川の水は真っ黒で悪臭を放ち、山には草もはえず、家畜の大量死も起きた。村民は自分たちの作った農産物を食べることが恐くなり、産地を偽装して別の地域に売るなどした。

 原因は食品添加物「ビタミンK」の生産量世界第2位、シェア40%を占める雲南省陸良化工実業有限公司・陸良和平科技有限公司のダブルブランドの民営企業が排出するクロム残滓だ。1989年の創業以来、クロム塩やビタミンK製造過程で出るクロム残滓を周囲の山に不法投棄し、六価クロムを含む汚水が地元の川に直接流されてきた。周辺に投棄されたクロム残滓は5000トンと言われているが、そのほか28万~30万トン以上が「埋められている」可能性も指摘されている。

 2003年ごろから村の健康被害が顕著になってきた。村民はさほど教育レベルが高くなく、この急激な病人の増加の原因と企業との因果関係に気づかなかった。また、医療水準も低く、ろくな治療も行われず、村民は肺がんのすさまじい痛みですら、「生きた虫を飲みこむ」という民間療法で対処した。

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「中国は公害を克服できない」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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