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親をだまし新生児を売り渡した産科医

習近平の本籍地で発生した嬰児誘拐販売事件の全貌

2013年8月23日(金)

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 陝西省渭南市に属する“富平県”は、省都“西安市”から北東に70kmの距離にある。人口81万人の富平県は中国では小さな県に過ぎないが、この地に“県”が置かれてから2400年以上の歴史を誇り、“墨玉之郷(黒い半透明な石の産地)”として古くから知られている。

 その富平県の知名度は近年一挙に高まったが、第5代目の中国共産党総書記となった“習近平”の“老家(本籍地)”だからである。実際には、習近平は1953年に北京市で生まれており、富平県は習近平の父親で、中国の八大元老の1人に名を連ねる“習仲勲”(1913~2002年)の生まれ故郷である。

 その富平県で、2013年8月2日に中国全土を震撼させた“拐売嬰児(嬰児誘拐販売)”事件が発覚したのであった。事件の全貌は以下の通りである。

先天的な障害があると説明

【1】2013年7月16日の夜9時頃、富平県“薛鎮”の農民で、23歳の“董珊珊(とうさんさん)”が、“富平県婦幼保健院(母子保健院)”(以下「保健院」)で男の子を出産した。これより先に保健院の産科副主任で副主任医師の“張淑侠(ちょうしゅくきょう)”<別名:張素霞>は、妊娠中の董珊珊に対してお腹の子供の健康に関して、董珊珊が梅毒とB型肝炎に感染しているので、子供にも感染している可能性があるとの懸念を伝えていた。出産が終わると、分娩室から出て来た張淑侠は董珊珊の夫である“来国峰”に向かって、赤ん坊を見せることもないまま、「新生児は先天性梅毒であるだけでなく、B型肝炎のキャリアでもあり、先天性の身体障害もある」と告知した。

【2】出産前に妻の董珊珊から話を聞いていた来国峰は、張淑侠の告知を聞いて懸念が現実となったことに動顛し、頭を抱え込んだ。悲しみに打ちひしがれる来国峰に追い打ちをかけるかのように、張淑侠は有無を言わせぬ口調で、「この子の治療は放棄することにして、保健院に任せて子供を始末してはどうか」と提案した。待望の子供ではあるが、先天性の病気で一生苦しむのはかわいそうだし、多大な医療費は到底負担しきれない。そう考えた来国峰は張淑侠の提案を受け入れて、赤ん坊を始末してもらうことに同意し、張淑侠が提示した診断書の下段に「子供を放棄することを要求する」と書いて署名したのだった。

【3】その日の深夜、密かに保健院の入院棟から赤ん坊を抱いて出てきた張淑侠は、保健院の玄関先のほの暗い電灯の下で来国峰とばったり出会ったが、自分の子供は始末されたと信じ込んでいた来国峰はその赤ん坊が自分の子供とは知る由もなかった。一方、来国峰と鉢合わせして肝を冷やした張淑侠は、7月17日早朝に連れ出した赤ん坊を2万1600元(約34万6000円)で山西省を本拠地とする「嬰児販売組織」に売り渡した。

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「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

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「親をだまし新生児を売り渡した産科医」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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