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拷問による自白で18年間を獄中で過ごした冤罪

公安局の検挙率競争が被害者を増やす

2013年9月13日(金)

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 2013年8月22日、山東省の省都“済南市”の“中級人民法院(裁判所)”で、収賄や横領などの罪に問われた元中国共産党中央政治局委員兼重慶市党委員会書記の薄煕来被告の初公判が開廷された。中国の高官を被告とする裁判では、事前に周到に準備された筋書きに沿って、被告が全面的に罪を認めて結審するのが通例で、人々は今回の裁判も被告の薄煕来がすんなりと罪を認めて、2日程度で結審するものと予想していた。

 ところが、出廷した薄煕来は審理の冒頭で裁判長に対して「公合理的かつ公正な審理を行うよう希望する」と異例な発言を行い、収賄とされた容疑について従前に行った供述を翻した。従前の供述とは薄煕来が“双規(そうき)”<注1>と呼ばれる“中央紀律検査委員会”による取り調べを受けていた時期の2012年7月26日に、自ら罪を認めたものである。薄煕来は供述を翻した理由を、(1)供述は不当な圧力を受けたことによるものであり、(2)明確な誘導を受けたものであったと言明した。すなわち、中国共産党員である薄煕来は中国共産党の監督機関である中央紀律検査委員会による過酷な取り調べを受けたために、自らの意思に反する供述を行ったと述べたのであった。この結果、裁判は事前に準備した筋書き通りには進行できなくなり、当初の予想に反して結審まで5日間を要すこととなった。

<注1>双規の詳細については2006年10月6日付の本リポート「汚職幹部が震え上がる特殊取り調べ『双規』とは?」を参照。

法的な歯止めはあるものの……

 さて、中国では警察などの取り調べで、「拷問にかけて自白を迫ること」を“刑訊逼供”と言う。“刑訊逼供”は刑事訴訟法によって禁じられており、容疑者や被告人に対して“刑訊逼供”を行った司法職員(公安警察や検察の職員を含む)は3年以下の懲役あるいは短期間の拘留に処せられる。また、“刑訊逼供”によって容疑者や被告人が死亡あるいは身体障害になった場合は、さらなる重罰が科せられることになっている。しかし、こうした法的な歯止めはあるものの、中国では“刑訊逼供”が依然として普遍的に行われているのが実情である。もっとも、薄煕来のような高官に対して“刑訊逼供”が行われることはないと思うが、報じられたところでは、薄煕来は厳しい取り調べに対し無精ひげと絶食で抵抗したという。

 この“刑訊逼供”が法律で禁じられていることを逆手に取って、愚かにも司法に挑戦した男がいた。2013年5月15日、浙江省“金華市”の“中級人民法院”で、収賄、横領、銃器不法所持の容疑で起訴された“呂子江”に対する二審が行われた。被告の呂子江は1964年生まれの49歳、金華市の管轄下にある“永康市”の「江南街道役場」の“党工作委員会”元書記であった。呂子江は2011年7月4日に経済問題を理由として“双規”処分となり、永康市紀律検査委員会による取り調べを受けた。取り調べにより犯罪事実が確認されたことから、呂子江の身柄は“永康市検察院”に引き渡され、同検察院は2011年7月21日に呂子江を収賄の容疑で立件した。捜査を経て、検察院は2012年8月1日に呂子江を収賄、横領、銃器不法所持の容疑で起訴した。

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「拷問による自白で18年間を獄中で過ごした冤罪」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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