• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

長江の生態系はすでに崩壊している

上流では三峡ダム3つ分の発電所建設計画が進行中

2013年9月20日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 中国政府“農業部”所属の「長江流域漁業資源管理弁公室(略称:「長漁弁」)」とスイスに本部を持つ「世界自然保護基金(WWF)」(主体は同会の北京代表所)の連名による『2013年長江上流連合科学調査報告』(以下「報告書」)の発表会が、2013年8月15日に上海市で開催された。

 この発表会で挨拶に立った、長漁弁主任の“趙依民”は沈んだ面持ちで、「全体から見て、長江の生態系はすでに崩壊している」と述べて、長江上流の“金沙江”では魚類が大幅に減少しているばかりか、金沙江の流域では大規模な水力発電所の建設事業が推進されていることから、今後さらに多くの長江特有の「種」が消滅する恐れがあると強い懸念を表明した。

 当日発表された報告書は、長漁弁とWWFによって組織された、総勢32人からなる「2013年長江上流連合科学調査隊」(隊長:趙依民、以下「調査隊」)が、2013年6月9日から20日までの12日間で、5省・自治区(青海省、チベット自治区、四川省、雲南省、貴州省)にまたがる長江の上流域を科学的に調査した結果を取りまとめたものである。

 全長6380kmの長江は世界三大河川の1つで、南米のアマゾン川、アフリカのナイル川に次ぐ、世界第3位の大河であると同時にアジア最長の河川である。長江は青海省を走るタンラ山脈の主峰ゴラタントン山(海抜6621m)<注1>の氷河から流れ出る雪解け水を源流とし、チベット高原、四川盆地、三峡を経て湖北省宜昌市に至る。その後、長江は湖北省、湖南省、江西省、安徽省の省境を流れ下って江蘇省に入り、上海市の河口から東シナ海へ流れ出る。なお、一般には、源流から宜昌市までが上流、宜昌市から江西省の湖口県までが中流、湖口県から上海市の河口までが下流と定義されている。

<注1>「ゴラタントン」とはチベット語で「高く尖った山の峰」を意味する。

4300kmを走破、上流域を調査

 調査隊が調査したのは、長江上流の通天河、金沙江、赤水河の流域で、その海抜は4000mの高原から1000mの峡谷地帯にまたがり、調査隊が12日間に走行した距離の合計は4300kmにも及んだ。報告書に記載されている毎日の走行距離を見ると、最短は6月9日の40kmであり、最長は6月15日の600kmだが、ほぼ連日のように400~500kmの距離を走行するという過酷な調査であった。

 さて、報告書は今回調査を実施した背景として次のような理由を挙げている。

【1】長江流域の社会経済はすさまじい勢いで発展していることから、長江流域の生態環境は人類の活動と世界的な気候変動の複合的な影響を受け、その生態系の健全性と生物多様性は巨大な脅威に直面している。中国で水量が最も豊富な河川である長江の水量は、2007~2009年の3年間連続で平年に比べて6.9%、11.7%、11.5%減少している。2013年5月には長江上流の重慶市水域でめったにない渇水状態が出現し、社会各界の関心を集めた。

コメント2

「世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」」のバックナンバー

一覧

「長江の生態系はすでに崩壊している」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

もっと事業を効率化して、料金を下げて、消費者に貢献しないと業界はだめになってしまう。

和田 眞治 日本瓦斯(ニチガス)社長