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薄熙来の無期懲役判決から読み取る習政権の性格

トロイカの3つの頭は別の方向を向く

2013年9月25日(水)

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 薄熙来裁判の判決が22日に出た。無期懲役、政治権利の終身剥奪、個人財産全没収となった。刑期の内訳は収賄15年、横領・職権乱用で7年、総合して無期懲役である。薄熙来は退廷時に「不公平だ!」と叫んだ、と伝えられる。

予想されていたよりも重い判決

 おそらくは当初予想されていたものより、重い判決である。8月22日から26日まで行われた公判で、おもいっきり自己弁護し、起訴事実を全面的に否認していた。また、自供が司法取引を背景に誘導されたものであること、証人の証言のあいまいさなどを逆に暴いたりもした。だが、それら被告の言い分はすべて無視され、証拠は十分で確かだということになった。

 微博による公判中継という新しい試みを知って、むくむくと沸いてきたのであろう薄熙来の「復権の夢」は今や完全に打ち砕かれた。上訴することを表明しているが、公判後に獄中で書いたとされる家族に宛てた手紙で「冤罪はいつかはっきりする。それまで静かに監獄で待つ」とも語っており、減刑に期待は寄せていないこともうかがえる。

 もともと裁判は公平なものではなく一種のショーなのだから、この一審判決は政治的判断として維持される可能性が高い。薄熙来事件はひとまず終わった、といえそうだ。だが、この裁判と判決から見える政権の性格は興味深い。

 予想されていたより重い判決、というのは、薄熙来ほどの政治的背景を持つ人間として、という意味である。一般人ならばもっと軽い罪であっさり死刑になっている。

 薄熙来級(政治局員、直轄市書記)の人物の汚職裁判でいえば、前国家主席・胡錦濤氏が追い落とした元上海市党委書記・陳良宇は、2008年に懲役18年、政治権利剥奪5年、個人財産没収30万元の判決を受けた。これは一審判決で上訴しなかった。

 薄熙来事件のきっかけになった米総領事館駆け込み事件の前重慶市公安局長・王立軍は私利私欲罪(徇私枉法)、職権乱用などで懲役15年、政治権利剥奪1年。これも上訴しなかった。

 薄熙来の妻・谷開来は英国人ヘイウッド殺害事件の主犯として殺人罪で執行猶予付き死刑、政治権利の終身剥奪。これも上訴せず。殺人と経済犯は「格」が違うので、谷開来が執行猶予無しの死刑判決にならなかったのは、むしろ「温情判決」だった。

 王立軍は、本来であれば国家機密漏洩罪に問われてもおかしくない。そこを問われなかったこと、しかも政治権利剥奪はわずか1年というから、やはり「温情判決」だった。温情判決となったのは、彼らに政治的背景、あるいは政治的役割があったからだ。

 薄熙来の裁判については、失脚から18カ月後にやっと公判にこぎつけたことから見ても、起訴されるまで積極的な批判キャンペーンが展開されなかったことからも、政権内部でその処遇についてずいぶんもめたことがうかがえる。薄熙来の罪状を徹底的に暴くと、連座しかねないような深い関係の共産党幹部たちが多いからだといわれる。

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「薄熙来の無期懲役判決から読み取る習政権の性格」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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