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ダフ屋がぼろ儲けする診療受付の舞台裏

有能な医師が集中する大病院に患者が殺到

2013年9月27日(金)

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 中国では「看病難、看病貴(診療を受けるのは難しく、受けられても医療費が高い)」と言われて久しい。“看病難”とは良質な医療サービスを受けることの難しさを指すが、端的に言えば、設備の整った大きな医院で良い医師に診療してもらうことの困難さを意味する。

 9月7日に広東省の“湛江市(たんこうし)”で、“赤脚医生(はだしの医者)”<注1>に病気の治療を受けていた男が、一向に治らないばかりか、症状がますます悪化するのに腹を立て、その報復として赤脚医生とその妻を殺害するという事件が発生した。正規の医療教育を受けておらず、応急処置的な診療しかできない赤脚医生に本格的な診療を期待すること自体がおかしな話で、殺された赤脚医生夫婦は気の毒というほかない。赤脚医生は極端な例だが、技術レベルの低い医者にかかっていても病気は容易に治らないから、人々は少しでもレベルの高い医師の診察を受けようと評判の良い大医院に殺到することになる。

<注1>正規の医師の資格は持っていないが、農業の傍ら医療衛生業務に携わる農村の医療人員。

正規の50~60倍もするダフ屋

 さて、診療の受付を行うために、まだ明けやらぬ早朝から医院に列を作って並ぶ患者およびその家族の映像は、日本のテレビでも幾度も放映された。2013年9月2日付けの広州紙「羊城晩報」は、患者が押しかける大病院における“看病難”の現状を次のように報じている。

【1】8月27日早朝の5時40分、広州市人民中路に所在する商店の大部分は営業を始めていないが、“児童医院(小児科医院)”の診療受付ホールは人であふれ、受付を待つ人々が10本以上の列を作り、床にじかに座る者もいれば、持参した小さな椅子に座る者もいる。不思議なことに、列の先頭にいる人の大部分は手にカルテを持っておらず、その後ろには付き従うかのように老若男女が並んでおり、彼らは一様に診療科目や医師名などが書かれた同一規格のメモを持っている。1番目の列の先頭は深夜2時過ぎに来たという20歳前後の若者で、その後ろには数名の中高年の女性が並んでいるが、彼らはそれぞれ1人で来たように見える。

【2】時間が経つにつれてホールに詰めかける人はますます増大し、各列の人数は30人以上となり、それほど広くないホールは立錐の余地もない状態となり、列の後方の人は前の人を押すから混乱に拍車をかける。そうなると医院の警備員の出番で、彼らは懸命に秩序維持に努め、割り込み紛争の解決に精力を費やすこととなる。そうこうするうちに7時になり、定刻通りにすべての受付窓口が開いた。1番目の列の先頭から5人目までは全員が2件の受付を行い、5人目の婆さんが2件の受付を終えたのは7時15分であった。すると、おかしなことに、婆さんは先ほどの若者(1番目の列の先頭に並んでいた)が別の列に並び直したのを見つけると、彼の前に割り込んで列に並んだ。こうして婆さんの後ろには3人の若者が並ぶ格好になったが、彼らは婆さんと同じで、それぞれ手に小銭と小さなメモを持っていた。しばらくすると、短髪の中年女性が歩み寄り、婆さんと若者たちにそれぞれ何枚かのメモを手渡して去っていた。

【3】7時30分に婆さんの2回目の受付は無事終了したが、婆さんは例の若者と一緒にまたもや別の列に並び直し、3回目の受付が終わると医院から出て行った。医院の正門から出た婆さんは左側に30mほどの距離にある1軒の商店に向かい、商店の前に座っていたモダンな女性にすべての受付票を手渡した。女性は頭を上げることなく、受け取った受付票を慎重にチェックすると、バッグから取り出したカネを婆さんに支払った。カネを受け取った婆さんは、傍らの地面に置いてあった大きなゴミ袋を持ち上げると、悠然と去って行った。

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「ダフ屋がぼろ儲けする診療受付の舞台裏」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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