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日中諜報戦時代が来る?

朱建栄教授の拘束事件が示すこと

2013年10月2日(水)

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 東洋学園大学の朱建栄教授が7月17日から上海に行ったまま、忽然と姿を消した。ちらちらと漏れ出る「当局に拘束されているらしい」のニュースにずっと不安を感じていた。

 日本僑報出版の社長の段躍中さんがツイッターで「奥さんの話では、入院中らしい」とつぶやいていたので、ひとまず静観しなきゃ、と思った。家族に「入院」という隠語で伝えるのは、尋問するだけして、お灸をすえて脅すが、立件せずにそのまま解放されることもあり得るというニュアンスがある。「ちょっと急病になってICU(集中治療室)に入っていました」みたいな言い訳をしながら日本に戻ってくれることを願って、しばらく黙っていようと思っていた。

 だが9月11日になって、共同通信と産経新聞が朱教授が国家安全当局に拘束されていることがわかった、と断定的に報じた。つまりスパイ容疑で取り調べを受けていると。その日の外交部定例記者会見では報道官は、記者の質問に答えて、朱教授が中国公民として中国の法律違反をしている、というニュアンスのことを言った。

 これはいったいどういうことだろう。朱教授だけじゃなく、ほかにも消息を絶った知日ジャーナリストらがいるそうだ。これは異常事態ではないだろうか。単に日中関係が悪くなったための嫌がらせだろうか。習近平政権の性格とからめて、改めてこの事件について考えてみたい。

「中国版NSC」をつくるという話も

 この事件については、私は取材していない。新聞報道を参考に概要を振り返ろう。

 産経新聞の9月11日の報道によると、朱教授は国家安全部警察に上海市内で拘束され浙江省の施設で取り調べを受けているという。日本の政府機関から資金援助を受けた見返りに、中国で政治や軍事などに関する機密情報を収集し、提供した疑いがあるという。また日本で出版した書物に中国で未発表の情報が含まれていたことや、日本の政府関係者との交流についても取り調べを受けているらしい。

 9月27日の続報では、朱教授は「日本での講演や執筆活動の中で、知らずに国家秘密を漏らしたかもしれない。故意ではなかった」と容疑の一部を認めているという。具体的には1990年代に出版した著書で、朝鮮戦争に関する未公開情報が含まれていたとか、尖閣諸島に関する非公開外交文書を講演やニューズレターで公表したとか。だが「国家秘密だとは知らなかった」という。日本の政府機関から金をもらって中国の政治、軍事などに関する情報収集し提供した容疑については否認を続けているとか。

 9月11日の共同通信によれば、学術研究のために解放軍関係者らから聞き取り調査をしていたことに「違法情報収集」の嫌疑がかけられているという。

 非公開外交文書が1972年の田中角栄と周恩来の尖閣諸島棚上げ合意をめぐる「以后再説(あとでまた話そう)」のやり取りの会話記録のことを指すなら、今は中国のネット上に普通に流れているので、よもやこれが「国家秘密」だとは私も知らなかった。いずれにしても、本来ならスパイとかインテリジェンスとかいうには程遠いレベルの情報だろう。

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「日中諜報戦時代が来る?」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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