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市・市民・企業が参加する防止運動で韓国の自殺が減少

自殺の名所を観光名所に

2013年10月16日(水)

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 韓国ソウル市とサムスン生命保険社が共同で行った自殺防止キャンペーン「命の橋(Bridge of Life)」が、ある広告祭でグランプリを受賞した。この広告祭は、シンガポールで9月に開催された「2013 Spikes Asia」。「命の橋」はアウトドア広告部門において、20カ国4832編の応募広告の中から選ばれた。

 「命の橋」は、2013年6月に行われたカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルでも、Titanium and Integrated Lions賞をはじめ9つの賞を受賞している。2013 Clio AwardsでもGrande award、PR部門Gold awardを受賞した。

 「命の橋」は、自殺の名所をヒーリングの名所へと変えるプロジェクト。ソウル市とサムスン生命保険社が2012年9月から始めた。韓国はOECD加盟国の中で、自殺率(人口10万人当たり自殺する人の割合)1位を10年連続で記録している。ソウル市消防災難本部の集計によると2003~2011年ソウル市の真ん中にある漢江の橋から飛び込み自殺をした人は1090人。中でも麻浦大橋(マポデギョ)からの飛び込みが188件と最も多い。

 麻浦大橋はオフィス街の「麻浦」と、汝矣島を結ぶ橋で長さは1.6キロ。汝矣島は漢江市民公園や国会議事堂、テレビ局、金融街があるソウルの中心地だ。交通の便がとても便利で、歩いて橋を渡る人も多い。ソウル市消防災難本部はこの橋から飛び込み自殺をする人が多い理由を、地下鉄の駅から歩いてすぐに行ける、人通りが多いので飛び込んだあと誰かに見つけてもらうことができる、と分析している。自殺する人には「見つけてもらいたい」という心理があるようだ。

 ソウル市の都市安全室はいくつかの対策を取ってきた。麻浦大橋に防犯カメラやSOS電話設置を設置する。飛び込めないように柵を高くする。すぐ救助隊が駆けつけられるようにする――。だが、それでも毎週、飛び込み自殺が発生している。

「何か悩みがあるの?」と橋が語りかける

 ソウル市都市安全室は物理的な方法で自殺を止めることは難しいとして、2012年7月に「命の橋」プロジェクトを発表。デジタル技術を使って、生きたくなるメッセージを投げかけることで自殺を防止する取り組みに着手した。開始は2012年9月。

 歩行者が麻浦大橋の歩道を歩き始めると、センサーが作動して橋が歩行者に話かける。橋の手すりの上面がデジタルサイネージのようなメッセージボードになっていて、歩行者の動きに合わせてLED照明が付き、様々なメッセージを発する。
「ご飯食べた?」
「ここ寒くない?」
「何か悩みがあるの?」
「大変だったんだね」
「一緒に歩こう」

 さらに「時がたつのって早いよね」って嘆いたり、なぞなぞクイズを出したりする。「人生で最も輝く時期はまだ来ていないよ」「明日は日が昇る」といった応援のメッセージも登場する。

 橋の端から約0.8キロの中間地点にはおいしそうな料理の写真や、おじいさんやおばあさんが幸せそうに笑っている写真、赤ちゃんとお母さんの写真などを表示する。

 これらのメッセージは専門家が作ったものではない。「命の橋」に飾る写真と、自殺しようとする人に伝えたいメッセージをソウル市が公募した。8000人の市民が応募し、その中から選んだメッセージを使っている。

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「市・市民・企業が参加する防止運動で韓国の自殺が減少」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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