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中国の医者に必要なのは護身術の習得

頻発する医療騒動に警鐘を鳴らした医師刺殺事件

2013年11月15日(金)

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 浙江省の東南沿海部にある“温嶺市”は人口約135万人の“県級市(県レベルの市)”で、“台州市”の管轄下にある。“温嶺市第一人民医院”(以下「温嶺第一医院」)は、その温嶺市で最大のベッド数約1000床の総合医院である。温嶺第一医院のデータによれば、2011年には外来患者数が延べ120万人、退院者数が延べ4.7万人で、手術件数は2.5万件に達している。職員総数は約2300人で、このうち常勤職員は約1300人となっている。

刃物でめった刺し

 その温嶺第一医院の5階にある耳鼻咽喉科の外来診察室前の廊下に、木槌と“匕首(ひしゅ:鋭利な短刀)” を持った黒革のジャンパー姿の男が現れたのは2013年10月25日の午前8時20分を過ぎた頃だった。当時診察室内には5人の患者が診察の順番を待っていた。武器を持った男がドアのガラス越しに室内をのぞき込むのに危険を感じた患者たちは、我先にと診察室のドアに飛び付いて開かないように内側から抑えた。男はドアが開かないと分かると、すかさず木槌でドアを叩き割って室内に乱入した。

 室内に入った男は、「“蔡朝陽”はいないか」と叫んで診察室を見回した。蔡朝陽がいないと分かると男はいきり立ち、持っていた短刀を構えると、その日当直で診療に当たっていた主任医師の“王雲傑”(47)に向かって突進したのだった。突然の攻撃に不意を突かれた王雲傑は、短刀でめった刺しにされて、その場に崩れ落ちた。

 真向かいの“口腔科”の診察室にいた医師の“王偉傑”(59)は激しい物音に驚いて廊下に顔を出した。ちょうどそのとき、男は診察室から廊下へ出たところだった。王偉傑はすぐさま男を追いかけたが、反転した男の攻撃を受けて右胸を刺された。男はCT検査室に走り込むと、室内にいた医師の“江小勇”を短刀で刺した。その直後に駆け付けた警備員によって取り押さえられた。

 この事件で被害者となった3人の医師のうち、王雲傑には緊急救命措置が施されたが、7カ所もの刺し傷を受けた上に、心臓に致命傷を負っていたため、薬石効なく死亡した。また、王偉傑と江小勇は重傷を負ってはいたが、応急手当てにより命に別条はなかった。犯人の男は温嶺市公安局に連行されて直ちに取り調べを受けた。その後に公安局が発表した取り調べ結果を基に、中国のメディアが報じた事件の顛末を取りまとめると以下の通りである。

【1】犯罪容疑者の氏名は“連恩青”、住所は温嶺市箬横鎮浦嶴村、年令33歳。連恩青は事件発生の半月前に上海市にある精神障害リハビリセンターから戻ってきたばかりであった。同センターには「持続性妄想性障害」<注1>で2カ月間入院していたのだった。

<注1>1つまたは複数の誤った思い込みが少なくとも1カ月以上持続するもので、一般に成人期の中期から後期にかけて発症する。

【2】医師に「鼻中隔湾曲症、慢性鼻炎、左上顎洞炎、副鼻腔炎(蓄膿症)」と診断された連恩青は、2012年3月18日に温嶺第一医院の耳鼻咽喉科へ入院した。入院3日目に医師の蔡朝陽<注2>の執刀で内視鏡を使った鼻中隔矯正手術と下鼻副鼻腔手術を受けた。手術は問題なく終わって退院したが、それから数カ月が過ぎた頃から、連恩青は鼻で呼吸するのが苦しく、頭痛もして、夜眠れないと言い出した。

<注2>事件当日に連恩青が耳鼻咽喉科診察室に侵入して最初に名前を叫んだ医師名。

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「中国の医者に必要なのは護身術の習得」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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