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労働矯正所を廃止に追い込んだ虐待報道

日常化していた収容者への過酷な処罰

2013年12月6日(金)

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 11月9日に北京で開幕した中国共産党の「第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)」は、373名の中央委員および中央委員候補が出席して「改革・開放の深化」をテーマに討議を行い、最終日の12日に『全面的な改革深化に関する若干の重大問題の決定』(以下「改革深化決定」)を採択して閉幕した。改革深化決定の全文は約2万字で、その内容は15分野に及ぶ16項目、60カ条からなっている。その2万字中のわずか33字で表記された事柄が、人権擁護に関わる最重要事項として中国国民の注目を集めた。

 それは、第9項“推進法治中国建設(法治中国の建設を推進する)”の第34条に含まれた“廃止労働教養制度、完善対違法犯罪行為的懲治和矯正法律、健全社区矯正制度。”という33字であった。これを翻訳すると、「“労働教養制度”を廃止し、違法犯罪行為に対する処罰と矯正の法律を整備し、社会の矯正制度を健全なものとする」となる。この中国語の“労働教養制度”とは一体何を意味するのか。

刑務所送りよりも不運

 “労働教養制度”とは、「労働による再教育制度」を意味する。地方の公安局が捕えた違法な犯罪行為を行った国民を裁判抜きで一定期間拘留して強制動労させることができる制度である。当該国民の犯罪行為が刑事犯罪に該当するなら、正規の検察、“法院(裁判所)”のルートで刑務所に収監される。一方、刑事犯罪に該当しない場合は、公安局の判断により各地方政府の“労働教養管理委員会”に “労働教養決定書”の発行を要求し、発行されたら当該国民に“労働教養通知書”を発行して署名させれば、“労働教養管理所(労働矯正所、略称:“労教所”)”へ収容し、強制労働に従事させることが可能となるのである。<注1>

<注1>“労働教養制度”の詳細については、2012年10月19日付の本リポート「警察の独断で強制労働へ、中国人の人権はないがしろにされている」参照。

 1982年1月21日に“公安部”が公布した「労働教養試行弁法」によれば、労教所の収容期限は1~3年となっているが、収容中に態度に問題があった場合には最長1年間の延長が認められている。 <注2>しかし、この収容期限には矛盾があり、公安局が刑事犯罪として立件すれば、懲役6カ月の判決を受けて、“監獄(刑務所)”で半年服役すれば済むはずのところを、労教所に収容されると、その収容期間は最悪の場合最長4年間となるのである。しかも、その待遇は刑務所よりも劣ることから、「労教所送り」は「刑務所送り」以上の不運と考えられている。

<注2>1979年11月に国務院が公布した「国務院の労働教養に関する補充規定」により労教所の収容期限は1~3年、最長1年の延長可能が規定されたが、それ以前は収容期限がなく、20年以上収容された人も多かった。

コメント1件コメント/レビュー

日経BP連載の福島香織さんも労働矯正所の廃止については軽く触れていましたが、まるで戦前の特高警察ですね。こんな制度廃止されて当然ですが、地方政府にまで徹底できるのかが強く問われることになると思います。(2013/12/06)

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「労働矯正所を廃止に追い込んだ虐待報道」の著者

北村 豊

北村 豊(きたむら・ゆたか)

中国鑑測家

住友商事入社後アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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日経BP連載の福島香織さんも労働矯正所の廃止については軽く触れていましたが、まるで戦前の特高警察ですね。こんな制度廃止されて当然ですが、地方政府にまで徹底できるのかが強く問われることになると思います。(2013/12/06)

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