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「診療費負担を返せ」~韓国国民健康保険がたばこ会社を訴えた

国民の健康のための訴訟か、それとも税金の無駄使いか?

2014年4月16日(水)

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 韓国国民健康保険公団が4月14日、韓国のたばこ会社KT&G(旧たばこ人参公社)と海外のたばこ会社2社――フィリップモリスコリア、ブリティッシュアメリカンタバココリア――を相手に537億ウォン(約52億円)の損害賠償訴訟を起こした。喫煙によってがんになった患者などの治療のために支払われた健康保険給付537億ウォンをたばこ会社が賠償すべきという訴えである。

 公共機関がたばこ会社を相手に、喫煙による健康被害の損害賠償を求める「たばこ訴訟」は韓国で初めてのこと。訴訟を起こした背景や勝訴する可能性が大きな話題になっている。

 韓国国民健康保険公団は、国民健康保険と職場健康保険(会社員対象)を運用管理する保健福祉部(厚生省のような省庁)傘下の公共機関。2014年1月の理事会で今回の訴訟を起こすと決めた。

 537億ウォンという金額は、喫煙期間が30年以上にわたって1日1箱以上を喫煙した肺がん患者など3484人に対し、国民健康保険公団が2003~2012年の間に負担した診療費から算定した。

 国民健康保険公団は、韓国で日本のたばこを販売するジャパンタバココリアは被告から除外した。韓国内のシェアが少ないという理由だ。

 日本でもかつて「たばこ病訴訟」があった。30~50年にわたる喫煙によって肺がん、肺気腫、肺膿腫瘍などのたばこ病になったとして、原告7人が1998年、JT(日本たばこ産業)と国を相手に裁判を起こし、1人当たり1000万円の賠償金、自動販売機でのたばこ販売差し止め、マナー広告を含む一切のたばこ広告禁止などを求めた。最高裁判所は2005年、原告敗訴と判決した。

国民健康保険公団は健康に関する膨大な資料が強み

 この訴訟が起きる4日前の4月10日、韓国の最高裁判所は、個人が原告となり韓国のたばこ会社を相手に損害賠償を求めた訴訟で、原告敗訴と判決した。原告である元喫煙者30人は1999年、長期間の喫煙により肺がんになったとしてKT&Gと国を相手に損害賠償を求める訴訟を起こした。15年にわたる審理の末、最高裁判所は以下の理由で原告敗訴を確定した。「喫煙と肺がん発生の疫学的因果関係が認められるとしても、肺がんは喫煙だけによるものではない。生物学的、環境的要因でも肺がんは発生するので、喫煙者が肺がんになったのは喫煙によるものと認めるのは難しい」。

 たばこ訴訟の原告敗訴が決まった直後にまた同じような訴訟を起こすのはなぜなのか。国民健康保険公団はなぜ、たばこ会社を相手に訴訟を起こさないといけないのか。国民健康保険公団側の弁護士らは訴訟の理由について4月14日に記者会見を開いた。

 「国民健康保険公団は喫煙によりがんになった患者の治療費として年間総診療費の3.7%に当たる1兆7000億ウォン(約1650億円)を負担している。喫煙によって人々が命にかかわる病気になり、生活の質が低下する状況で、国民健康保険公団が何もしなければ、義務を放棄することになる。たばこは麻薬と同じでやめたくてもやめられない中毒性がある」

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「「診療費負担を返せ」~韓国国民健康保険がたばこ会社を訴えた」の著者

趙 章恩

趙 章恩(ちょう・ちゃんうん)

ITジャーナリスト

研究者、ジャーナリスト。小学校~高校まで東京で育つ。ソウルの梨花女子大学卒業。東京大学学際情報学府博士課程に在学。日経新聞「ネット時評」、日経パソコン「Korea on the web」などを連載。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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