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戦時賠償で日系企業受難の年に

国際法通じぬ中国法、訴訟ラッシュ始まる

2014年4月30日(水)

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 今年は日本企業がいろいろと受難の年らしい。3月に広東、香港地域を旅行したとき、現地の日系工場関係者から聞いた話では、「公安から今年は日系企業受難の年ですから覚悟しておいてください、と警告された」という。

動じない日本政府、訴訟の照準は日系企業へ

 こういう推測の根拠とは、今年が日清戦争という、日中間の最大の対立点となっている尖閣諸島をめぐる問題の起点となった歴史事件から120周年という節目の年であることが一つ。そして日中間の政治的緊張が一向に緩和しない上に、中国経済が失速し、天安門事件から25周年を迎えるなど内政的にも不安定な一年になりそうなことから、対外的な強硬姿勢を打ち出し、国内の団結、共産党への求心力を図ろうという習近平政権の思惑が見えること。加えて安倍晋三政権が中国からの政治的揺さぶりにあまり動じないだけに、ターゲットを企業・民間に向けるしかない、という声も聞く。

 確かに春節後からを振り返ってみると、第二次大戦時の強制連行賠償訴訟が中国の裁判所において初めて受理されたのを皮切りに、中国当局がこれまで抑制してきた戦時民間賠償訴訟が次々と起きている。また3月15日の世界消費者デーで、ニコンのデジタル一眼レフカメラのD600が欠陥商品としてバッシングされ中国市場からD600の姿は消えた。そして突然の商船三井の差し押さえ事件(4月19日)。あと、日系工場でストライキが起きたら、決定的だな、という話をしていたら、3月24日にすでに上海の日系タオル工場で700人規模のストライキが起きていた。もっともストライキについては他の外資系工場で万単位のストが起きているので日系ばかりの受難とはいいがたいのだが。

 司法が絡む強制連行賠償訴訟と商船三井の件は、習近平政権になって新たに出てきた現象である。中国の司法は独立しておらず、その司法判断は党中央の意向に基づく。今回はこの戦時賠償にからむ一連の動きについて考えたい。

コメント12件コメント/レビュー

訴訟は起こるのだろうけど、急激に増えるような可能性は低いと思います。訴訟は、チャイナリスクについて宣伝するようなものですし、未だ外国からの投資が必要な国でしょうから。日本からの投資はすでに減り出していますし、それは共産党も気付いていると思われます。結局、「国民の不満のガス抜き」と「チャイナリスクの宣伝」のトレードオフだと思います。こう考えれば、日本が何をするとリスクが減るか見えてくると思います。まぁ、それは、日本にとっても「ナショナリズム」と「経済的利益」のトレードオフ、ですね。(2014/05/01)

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「戦時賠償で日系企業受難の年に」の著者

福島 香織

福島 香織(ふくしま・かおり)

ジャーナリスト

大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

訴訟は起こるのだろうけど、急激に増えるような可能性は低いと思います。訴訟は、チャイナリスクについて宣伝するようなものですし、未だ外国からの投資が必要な国でしょうから。日本からの投資はすでに減り出していますし、それは共産党も気付いていると思われます。結局、「国民の不満のガス抜き」と「チャイナリスクの宣伝」のトレードオフだと思います。こう考えれば、日本が何をするとリスクが減るか見えてくると思います。まぁ、それは、日本にとっても「ナショナリズム」と「経済的利益」のトレードオフ、ですね。(2014/05/01)

NBの記事でも有りましたが伊藤澄夫社長の警告どおりになってきましたね。中国自体は当時は日本のODAが欲しいから個人の案件は止めていたのでしょう。ただ止めただけでなく保留にして今この時に発現させたといったところでしょうか?相変わらず強かな国です!日本国も日本企業もここまで投資してしまったら引き下がれない…何となく戦争直前の大日本帝国軍のセリフと被りますね…。(2014/04/30)

今はまだ、会社資産の差し押さえレベルでとどまっているが、そのうち現地の日本人社員が不当に拘束されたり、でっち上げの罪で刑罰に処せられたりする事態に必ず移行する。そうなってからでは、在留邦人救出のために軍を出せない日本は手も足も出なくなる。そうなる前に可及的速やかに中国市場から撤収するのが日本企業の義務である。それをせず、不当に拘束される社員が出た企業は「利益に目がくらんで人命を軽視した企業」とのレッテルを貼られ、国内のシェアも落とすことになりかねないと思う。(2014/04/30)

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