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ウクライナ危機の勝者は中国

大統領選の結果を受け、東西分裂は深刻化

2014年5月30日(金)

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 5月25日にウクライナで行われた大統領選挙では予想通り、富豪ペトロ・ポロシェンコ候補が圧勝した。チョコレート製造、テレビ局、造船など幅広く事業を行うポロシェンコは、この国で最も裕福な人物の一人である。

ウクライナのEU加盟を推進へ

 ウクライナ西部を地盤とするポロシェンコは、ソ連崩壊後に巨額の財をなしたオリガルヒ(新興財閥の代表)の一人で、ヤヌコビッチ体制下で経済大臣を務めたこともある。だが現在彼はウクライナをEU(欧州連合)に加盟させることを目指しており、プーチンが提案しているウクライナの連邦化を拒絶している。

 この大統領選挙によって、ウクライナの政治状況が一挙に安定すると考えるのは、早計だ。むしろ国家の分裂は深まるかもしれない。

 その証拠に、流血は終わっていない。投票日の翌日には、ウクライナ軍が地上部隊と戦闘ヘリ、ジェット戦闘機を投入し、ドネツク空港を占拠していた親ロシア武装勢力を攻撃。約40人が死亡した。ポロシェンコは「テロリストとは交渉しない」と述べ、ウクライナ東部の武装勢力に対して強硬な態度を取ることを明らかにした。

 東部のドネツクやルガンスクでは、親ロシア勢力が投票を妨害した。「ウクライナ有権者委員会」というNPOによると、ドネツクの3430カ所の投票所のうち、開いていたのは528カ所だけだった。ウクライナ選挙委員会によると、中部から西部の多くの州では投票率が60%を超えていたのに対し、ドネツクの投票率は15.4%、ルガンスクでは38.9%にすぎなかった。国民が大統領を選ぶ権利すら行使できないのでは、ウクライナ暫定政権の国家主権は、これらの地域に及んでいないと言わざるを得ない。事実上の無政府状態である。

 ドネツクとルガンスクの親ロシア勢力は、2週間前に「住民投票」を強行してウクライナからの独立を一方的に宣言した。彼らは、ポロシェンコが大統領に就任しても、一切の対話を拒否する方針を明らかにしている。

最大の富豪が親ロシア派を糾弾

 興味深いのは、ウクライナ一の富豪である「製鉄王」リナト・アフメトフが、投票日の4日前にウクライナ東部の独立派と初めて決別したことである。彼は、親ロシア武装勢力を「ウクライナの敵、盗賊、破壊者」と呼び、同国東部の住民たちに対し、これらの勢力に抵抗するよう呼びかけた。アフメトフは、「親ロシア武装勢力に抗議するために、毎日正午に“平和のためのストライキ”をしよう。ウクライナ東部が平穏な状態に戻るまで、このストライキを続けよう」と訴えた。

 ウクライナ東部のドネツク出身であるアフメトフは、同国のオリガルヒの中で最も政治的な影響力が強い人物。これまで旗幟を鮮明にしていなかったアフメトフが、親ロシア勢力をこれほど明確に糾弾したのは、初めてのことだ。

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「ウクライナ危機の勝者は中国」の著者

熊谷 徹

熊谷 徹(くまがい・とおる)

在独ジャーナリスト

NHKワシントン特派員などを務めた後、90年からドイツを拠点に過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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