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社会保障制度のモデルは韓国にあり

許容可能な負担で高齢化に耐えるために

2014年6月30日(月)

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 韓国経済に対する論評は、極論になりがちです。しかし、韓国経済には「強み」と「弱み」、「日本が見習う面」、「日本が反面教師にすべき面」などが混在している状況には変わりはありません。お隣の国、韓国経済の本当の姿を客観的に見ることは、日本経済の将来を議論する上でたいへん役立ちます。「知られざる韓国経済」を再び見ていくことにしましょう。

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 社会保障制度のモデルとしてよく取り上げられる国は、スウェーデンでしょう。手厚い社会保障による安心できる老後、高福祉は国民のだれもが希望する社会保障の姿です。しかし、日本のモデルとなるのはむしろ韓国の社会保障制度だと聞くと多くの人が驚くはずです。では韓国の社会保障とはどんな姿なのでしょうか。その特徴を一言で言い表せば「低福祉」です。

韓国の社会保障は「低福祉」

 まず韓国が「低福祉」である点を数値で示します。社会保障の水準を判断する際に社会保障支出率(注1)がよく使われます。OECDのSocial Expenditure Databaseから、韓国の社会保障支出率を見ると、2012年で9.2%です。OECD加盟国の平均値は21.7%ですから、韓国の数値は平均より相当程度低いことがわかります。

 さらに国別に見ると、フランスの32.1%を筆頭に、34カ国中23カ国が20%を超えており、その中には22.4%の日本も含まれています(注2)。韓国の数値は、メキシコに次いで2番目に低い水準です(図1)。

図1 OECD加盟国の社会保障支出率(対GDP比)

 この数値を示すと、韓国の社会保障支出が少ないのは高齢化が進んでいないからではないか、との反論が予想されます。OECDのFactbookによれば、2010年で21カ国が「高齢社会」の基準である14%を超え、日本を含めた3カ国で20%を超えており、OECD加盟国の多くは、韓国より高齢化率、社会保障支出率ともに高い状態です。一方、2012年における韓国の高齢化率は11.8%と、「高齢化社会」の基準を超えているものの、比較的高齢化が進んでいないのは確かです。

 では、高齢化が進んだOECD加盟国について、高齢化率が韓国並みであった時期に社会保障支出率がどの程度であったか見てみましょう。OECDのSocial Expenditure Databaseで、1980年以降に現在の韓国並みの高齢化率、すなわち11~12%になった国について、当該年の社会保障支出率を見ます(注3)。

(注1)政府による社会保障支出÷名目GDP×100%で計算される。

(注2)2012年の数値が出ていない国については、数字が出ている直近年の数値とした。なお日本は2009年の数値。

(注3)OECDのSocial Expenditure DatabaseによるOECD加盟国の社会保障支出率は1980年以降に限定される。IMFのWorld Economic Outlook Databaseから、各国の高齢化率(5年ごとのデータ)を入手した。

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「社会保障制度のモデルは韓国にあり」の著者

高安 雄一

高安 雄一(たかやす・ゆういち)

大東文化大学経済学部教授

1990年一橋大学商学部卒、同年経済企画庁入庁、調査局、外務省、国民生活局、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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